ニッケイ新聞 2008年8月14日付け
文協主催の『日本の音色―古典から現代へ』四都市公演が五日に終了した。古典から現代の音色の移り変わりが見事に披露され、和楽器の新しい世界が示された。三日のサンパウロ公演では、全ての演奏が終わると約百人の観客は総立ちで拍手をおくり、アンコールが行なわれるほどの盛り上がりを見せた。
三日の公演ではブラジル人のギター奏者カミーロ・カハラさんをゲストに迎え、ブラジル公演のために作曲家の井上鑑さんが作った新曲(題なし)が共演された。
暗く静まり返ったステージに筝のはじかれる音が響き、会場は一瞬のうちに和の世界に包まれて公演が始まった。はじめの三曲は、和楽器のみで「千鳥幻想」など伝統的な和の音色が会場に響いた。
現代楽曲へ移ると、同じ和楽器でも古典とは全く違った雰囲気が醸し出された。六曲目の「装画」で井上さんのシンセサイザーが加わり、続いて七曲目以降のカミロさんのクラッシックギターとの共演では、全く新しい日本の音色が会場を魅了した。
尺八は激しい息使いでメロディーラインを奏で、筝は下面が手で叩かれるなど斬新な使い方がされ、「尺八や筝があんな風に使われるなんて。今まで持っていたイメージが崩された」と、文協史料館の栗原猛運営委員長は驚きを表した。
公演の後半は、観客の中にはうなり声を出す人もおり、グローバリゼーションが作り出した音楽にそれぞれ堪能したようだ。