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草分けの家族も出席して=カロン50年誌出版パーティー=サンパウロ市

ニッケイ新聞 2008年8月14日付け

 沖縄県人会ビラ・カロン支部の「創立五十周年記念誌」発刊祝賀式典が三日午前十一時過ぎから、サンパウロ市の同支部会館で開かれ、会員はじめ二百人以上が訪れた。
 一昨年の式典終了から二年の年月をかけて編集を進めてきた同記念誌。支部創立の草創期から、縫製にはじまり金物、化粧品などへ広がった県系産業の歩み、芸能をはじめとする支部活動の発展を記録した五百二十六ページの労作だ。
 与那嶺真次県人会副会長、神谷牛太郎サンパウロ市議なども出席。新崎マリオ支部長は編集委員、また出版費用を支援したレアル銀行へ謝意を表し、「この記念誌は、先人の遺産である『助け合いの精神』の結晶」と出版を喜んだ。
 五十周年当時支部長だった高安宏治さんも「カロンの今日の豊かな姿を子供たちに伝える見事な記念誌」と称賛。宮城調智編集委員長は「先輩が築いた立派な歴史があるからこそ、立派な現在に繋がっている。ぜひこの記念誌を読んで、これからもカロンのためがんばってほしい」と語った。
 同書は一部をポ語訳し、漢字にルビをふるなど、二、三世層にも読んでもらえるよう編集されている。宮城あきら編集委員はあいさつで「新崎支部長たちから『私たちも、カロンを作りあげた先人の心を知りたい』とお願いがあり、委員会で編集やり直しを決めた」と経緯を説明し、「支部を担う二世、三世の皆さんの心に感動しています。編集に参加できて本当に良かった」と振り返った。
 支部長から宮城さんと大城栄子編集委員、レアル銀行の清水オリジオ専務、中川マルシア部長の代理として、谷川ミツル・アイルトン営業部長に感謝状を贈呈。乾杯、昼食の後は地元芸能団体などによる祝賀芸能公演が行なわれた。
 「義父は厳しい人でしたが、カロンへ来た人たちの世話をよくしていました」と話すのは、同地の草分け、支部創立者の一人上江田幸明氏の四男夫人、トヨさん(78、二世)。「とても嬉しい」と、記念誌完成を喜ぶ。
 カロンに最初に入った県人で現在カーザ・ベルデに住む照屋モウシさん(91)の次女、ハルコ・テルヤ・モロミザトさん(69)は「忍耐強く取材してくださった編集委員のみなさんに感謝します。『とてもよく書けている』と母も喜んでいます」と話していた。