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「独身者の日」に考える=独り者や親と同居も一般化=価値観多様化が様々な面に

ニッケイ新聞 2008年8月15日付け

 「独身者の日」の今日(十五日)は、独身者増加など、社会変化の一端をのぞいてみたい。
 十日エスタード紙によれば、〇七年四月~〇八年六月の全国九都市での調査で、一八歳以上で独身という人は五三〇〇万人で人口の三〇%。九〇年代の七〇%増で、独身や親との同居への抵抗感もなくなってきている。
 九都市中、サルバドールは一八歳以上の四五%が独身。以下、ブラジリア四五%、ベロ・オリゾンテ四〇%、フォルタレーザ三八%、レシッフェ三六%、リオとサンパウロ市三三%、クリチバとサンジョゼ・ドス・ピニャイス(合同)、ポルト・アレグレ三〇%で、男女比は、五二%対四八%。
 年齢別では、一八~二四歳四四%、二五~三四歳三〇%、三五~四四歳一四%、四五~五四歳七%、それ以上五%。社会階層別では、Aクラス一〇%、Bクラス三三%、Cクラス四四%、Dクラス一三%。六大都市の最低賃金四〇以上の労働者一%と比べ、独身貴族が多いといえる。
 一方、十日フォーリャ紙には、三十代女性が子どもや家庭を持つことに積極的な男性を見つけるのは難しく、独身、既婚を問わず、父親になりたくない男性が増え、子どももいないのにパイプカット(男性避妊手術)をする人もいるとの報。
 子ども不要、子育て嫌悪という男性増加は、男女間のケンカ増加や、出生証明に父親名の記載がない子どもが二〇%もいることの一因でもある。その一方、独身男性や同性愛カップルが養子を迎える例も増えている。
 独身者や子どもは不要という人の増加は少子化などにも直結するが、サンパウロ市では、食料品の七%は独身や小世帯向け。洗濯屋の独身顧客は六〇%、新車七台に一台は独身者が購入など、独身者一人が使う金は月に一六四五レアル、市全体では六〇億レアルと、独身者増加の経済的影響も大きい。
 また、九日エスタード紙によれば、サンパウロ州都市住宅開発公社では、社会構造の変化にそった一DKや一LDK供給が増え、以前なら拒否した独身者や同性愛者、おばと姪、祖母と孫などの小人数入居も認め始めたという。
 独身増加や少子化で、社会構成もつぼ型に変化しているが、幸福観や価値観も大きく変化しているといえそうだ。