ニッケイ新聞 2008年8月15日付け
弊紙の読者であれば、今年が日本移民百周年であることを知らない人はいないだろう。だが、立場によっていろいろな節目の年でもある。サンバ好きに言わせれば、リオで最も人気のあるチームの一つ、マンゲイラが創立八十周年を迎えて記念切手まで発行されたというし、ボサノバ五十周年でもある▼ブラジル史上、重要な出来事であるポルトガル王室ブラジル上陸二百周年であり、それと同時に持ち込まれたインプレンサ(マスメディア)や出版業開始二百周年でもある▼宗教に詳しい人に言わせれば、アフリカ伝来の土着宗教とカトリックが融合したウンバンダ開始百周年でもある。ノルデステ地方の歴史からすれば、貧しき者を助け、悪徳ファゼンデイロから金品を強盗したといわれる英雄ランピオンの没後七十周年でもある▼ブラジル文学界からなら、代表作家の一人マッシャード・デ・アシスの没後百周年、外交官としても有名だったギマランエス・ローザの生誕百周年でもある▼そして、同じ移民系コミュニティとして忘れてはいけないのは、オランダ移民もまた今年六十周年を迎えたことだ。同系移住地〃花の都〃オランブラでは、日本移民百周年式典の裏番組ともいえる六月十四日のタイミングで、記念バイレなどを行った▼さらに、〇四年に移住百八十周年を迎えていたドイツ系は、今年四月に百八十年分の歴史を収めた記念誌を完成させて五千部印刷し、全伯の公立校に配った。移住以来、二世紀まであと二十年という域に達してなお、記念誌を編纂し続け、自らの出自を大切にする心意気は、先達として見習いたいものだ。(深)