ニッケイ新聞 2008年8月19日付け
先週の15日に「かさとまる表彰」があり、475の団体や個人、物故者が栄誉に浴したのは、とてもいいことで大いに喜びたい。1世の移民もいるし、2世の人たちもいっぱいなのがいい。今や日系人口は150万人とされるのだから選考は難しく、昔のことがらに詳しい故老らの話にも耳を傾けたのに違いないが、小紙掲載のリストによると、肝腎な人物が見当たらないのが気に掛かる▼物故者では、山本喜誉司と宮腰千葉太や日伯交流を政治信条とした連邦下議のジョン・進平田などがないのである。もっと古くは笠戸丸よりも早くサンパウロに着いた鈴木南樹(貞次郎)と貿易商「藤崎商会」の後藤武夫を忘れてはなるまい。この二人が笠戸丸移民たちを手助けした話は長く語り継がれている▼リストの氏名は横文字ながら鬼籍に入った方々の何人かをよく知っている。これらの故人は、移民として立派に生き抜いた人物であり、とてもいい好々爺として生涯の幕を閉じた人々である。その意味では、平平凡凡たる人生であり、得難い「味」のある親父さんであった。だからと言う訳ではないし、いささか礼を失するけれども、こんな町の人は、所謂―表彰とは縁が遠い▼恐らくー記念品かを手にした草莽の民は草葉の陰で苦笑いしているだろうが、多分―選考委員らも2世や若い世代ではなかったのか?そうでなければ、日ブラジル会議員会の創立者であり、文化交流や政治家たちの親善と友好に尽くした下議の平田進や文化協会を創立した山本喜司を失念するはずがない。と、少しばかり小言が多くなり申し訳ないが、お許しをー。敬称略。 (遯)