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改善できるかサンパウロ市の交通=決め手のはずの公共手段=8月のバス速度は6月以下

ニッケイ新聞 2008年8月20日付け

 一四年のワールドカップ(W杯)までに交通改善が求められるサンパウロ市に対し、ジェツリオ・ヴァルガス財団(FGV)が十八日、〇八年の交通渋滞による損失は三三一億レアルの予想を発表した。
 十九日エスタード紙によると、通勤時間や燃料費、保健衛生費、運送経費などを加味した損失額は、サンパウロ市の国内総生産の一〇%。〇〇年の一一一億レアル、〇四年の一九三億レアルと比べ、サンパウロ市の交通事情は年々深刻化しているといえる。
 背景には好調経済などを反映した車両増加や人口増加もあり、〇三年一月~〇八年三月に一日六八三台ずつ増えた乗用車は、現在四〇〇万台が走行。バイクや大型車両も含めた市内走行車両は六〇〇万台を超えている。
 一方、十七日エスタード紙によれば、サンパウロ市地下鉄は六一・三キロ、鉄道も二六〇キロのみ。相互連絡が不十分で、市民は長時間かけての移動を余儀なくされる、その一例は、サンパウロ市南部グラジャウーからセーまで通勤する人。平均所要時間は往復二四四分。毎日四時間を費やしているという。
 また、同じエスタード紙は、トラック乗り入れ規制強化後のバスの運行速度と六月のものとを比較して報じたが、バスに関しては規制強化後も改善が見られず、かえって減速した所もある。
 市内一四のバス路線での調査だが、朝のピーク時の平均時速は六月の一五・五六キロに対し、八月は一五・一二キロで、約三%減速。一六・八三キロから一三・九六キロに落ちたクルゼイロ・ド・スウ大通りや二〇・三六キロから一六・八三キロに落ちたラジアウ・レステなど、専用、優先レーンで減速している一方、パウリスタ大通りなど、三渋滞路線では一〇・三六キロが一〇・八キロなど、やや改善。パウリスタ大通りではジャルジン地区のゾナ・アズウ一部廃止の影響もあるようだが、午後六時に時速三・〇一キロ記録の日もあるなど、周囲の交通事情や天候も関係する。
 例外は、エクスプレッソ・チラデンテス。バス専用道路を走るため平均速度は三七・五キロ。専用道路やレーンの増設他、地下鉄、鉄道などの公共手段延長や、連絡性向上が鍵といえそうだ。
 市長候補の公通対策も注目される時期だが、車両数や走行数削減の具体的提案はなく、土台にしたデータが現状を反映していないとの声もある。