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仏作って魂入れず?=法はあっても守らぬブラジル=遵守といわれ慌てる人も

ニッケイ新聞 2008年8月21日付け

 何事も交渉が結構通用するジェイチーニョのブラジルだが、既存法遵守のための法令厳格化で慌てたり、取締りの必要性を窺わせる報が続いている。
 ここ数日報道が続くのは、七月二十二日に大統領が署名した、環境犯罪法違反者への罰則強化法関連。飲酒運転禁酒法厳格化で交通事故減少などの実績から、環境犯罪も厳罰化で減少すると考えたようだが、新法発令が農業生産者の不安を煽り、反発も生じている。
 十七日エスタード紙によれば、環境犯罪法にある、自然保護区や先住民保護区内の伐採や農耕地開拓、山の斜面での耕作などの適用項目中、四五度以上の傾斜地の木は伐採禁止の項目を厳重適用すれば、南リオ・グランデ州のブドウ園の八〇%、サンタカタリーナ州のりんご園の七〇%、北東伯のサトウキビ畑の九〇%は違法となる。また、南リオ・グランデ州だけで、国内生産の七六%にあたる米が違法栽培となり、一五万人の農業従事者が罰則を適用されることになるという。
 一方、ミンク環境相は、新法は環境犯罪法を遵守させるためで、既存の田畑を潰し、コーヒーの木を倒すためのものではないと弁明し、話合いを呼びかけている。
 環境相については、十六日エスタード紙にも「ノーと言っていた環境省が、交渉する省に変化した」とあり、農相や動鉱相ら政府関係者や、農場主や企業家との話合いを重ねているらしい。
 農相との交渉主題は法定アマゾンなどの伐採と農牧地開拓、伐採跡地の植林計画などだが、十九日フォーリャ紙が、環境相がアマゾンの伐採跡地修復にバイオ・ディーゼル生産につながるデンデやし使用承認と報道。修復のための長期融資は良いとしても、デンデやし使用承認で伐採増加を懸念する声もあるなど、前環境相が拒み続けた内容の合意も起きそうだ。
 一方、取締り効果は、七月十八日エスタード紙の、環境許可付与企業増加でカアチンガでの伐採二〇%減少の報や、十六日エスタード紙の、七月の法定アマゾン内伐採の前年同月比六〇~七〇%減少は、木材輸送トラックの取締りなど、監査対策変更の効果との報からも窺われる。十日フォーリャ紙のサンパウロ州内保護区での伐採許可取消しで伐採量が九九年来初の減少の報も、当局の取組みと伐採量増減が関連することを現している。