ニッケイ新聞 2008年8月22日付け
二十一日伯字紙が、飲酒運転禁止法発効二カ月で国は四八四〇万レアルの節約と報じた。これは国道での事故集計のみで算定されたもの。
六月二十日~八月十九日の国道での交通事故は二万一三二七件。〇七年同期の二万四四六件と比べ四・三%増だが、死者の出た事故は九九八件が八六二件と一三・六%、死者は一二五〇人が一〇九一人と一二・七%減少。負傷者の出た事故は七三五八が七三〇三件と〇・七五%、負傷者も一万二三八四人が一万二一七四人と一・七%減少。被害者のない事故は一万二〇九〇人が一万三一六二件と八・九%増えた。
事故処理などにかかる経費は、被害者のない場合一万九〇〇〇レアル、負傷者一人九万六〇〇〇レアル、死者一人四六万七〇〇〇レアルで算定される。
一方、この二カ月に飲酒運転として摘発された人は、〇七年の一〇三〇人に対し一八三九人と増加。逮捕された人も、〇七年の〇に対し一二二三人。基準厳格化と取締り強化の結果と見られる。
二十一日エスタード紙には救急車両SAMUの出動数も出ているが、新法発効前三〇日間の一万一九一八回に比べ、発効後の三〇日間は一万一四六回と一四・八六%減。減少率の高かった州都は、カンポ・グランデ、ベレン、マナウス、マカパ、サルバドール、サンルイス。サンパウロ市は一四・二六%、リオ市は一〇・八五%と平均を下回った。
また、十九日フォーリャ紙によれば、六月十九日~八月十七日に大サンパウロ市圏内の州立病院に搬送された交通事故被害者は、〇七年の一万六五六五人に対し九三六四人で四三・五%減少。また、新法発効前二カ月と発効後の二カ月の比較では四九・二%減少ともいう。
SAMU出動数や救急患者の減少は、交通事故以外の患者への車両振替を可能とし、医療関係者のゆとりにもつながる。
渋滞の深刻なサンパウロ市はバイクによる救急隊員派遣や患者延命のために特別点滴使用などの工夫もしているが、走行車両が増え、渋滞や事故の増加が当然な状況下での被害者減少は、新法による効果の一端といえそうだ。
ただ、新法の効果は取締りとの相乗効果で、取締りが厳重ではない農村部では減少率は低いという見解や、雨などで取締りが緩む可能性をあげる人がいるなど、減少傾向維持には当局の継続した取組みが必須といえる。