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聖南西教育研究会=定例会で講演、座談会=百周年で独自の取り組みも

ニッケイ新聞 2008年8月23日付け

 聖南西教育研究会(渡辺久洋会長)は、第百五十二回定例会を九日、ピラール・ド・スール文協会館で開いた。九つの日本語学校から教師ら関係者が約三十人集まった。
 同文協の阿部勇吉会長、聖南西文化体育連盟の田中得朗教育部長のあいさつに続き、渡辺会長は、「日本語教育が衰退しているといわれているが、一生懸命伝えることが我々現場の使命」と話した。
 先月末に赴任した第二十四回JICA青年ボランティアとして赴任した堀内伸人(イビウナ)、長坂恵美さん(ピニャール)が紹介され、長年イタペチニンガで教師を務める尾崎守さんが聖南西地区の日本語教育などについて、自らの経験を含めて講演を行なった。
 昼食後、サンパウロから訪れた田中洋典(サンパウロ人文科学研究所専務理事)、大浦文雄(救済会顧問)、小川彰夫(元文協副会長)さんや、文協役員や父兄らが出席した座談会が催された。
 大浦氏は戦前、先生とポ語のできない生徒らを繋ぐ学務員だったことから、「日本語を知ることでブラジルに貢献できる」などと話し、田中、小川両氏も自身の経験から、日本語教育に関する発言を行なった。
 続いて行なわれた全体報告会で渡辺会長は、百周年関連行事に関して、作文コンクール(八月)、お話し大会(十月)の連絡を行ない、ピラールの武安ひかりさんがJICA生徒研修で来年一月に訪日することを報告した。
 レジストロやピニャールの代表者らは、日本語学校が折り紙教室やラジオ体操、盆踊りなどを〃出張指導〃していることに触れ、百周年、近年の日本ブームでコロニア外からの要請があったことを発表した。
 小川氏は、若い世代の間でアニメの人気が高く、非日系人が日本語の歌を歌うことなどから、「日本語を教える新しいモデルはないか」と話し、レジストロに派遣されているJICA青年ボランティアの上野智子さんが、「生徒が好きな歌の虫食い問題を作ったり、人生ゲームで遊びながらの学習している」ことを発表した。
 ソロカバからの教師は、今年から日本語学校で幼児教育を始めたことを挙げ、七人ほどの園児が日本語環境のなかで過ごしていることなどを話していた。
 最後のまとめでピラール日本語学校の豊田一夫校長は、非日系の入学者が上昇傾向にあることなどに触れ、参加者に今後の日本語教育の大事さを説き、南満同学校学務理事は、「先生の信念だけでは難しい。父兄、文協が一丸となって日本語教育にあたっていこう」と呼びかけていた。