ニッケイ新聞 2008年8月23日付け
市田邦彦さん(68、広島)所有の油絵約八十点を展示する「市田ギャラリーアート(Arte da Gareria Ichida)」が四年の歳月を経て完成し、九日午前十時半からサンパウロ州ソコーロ市にある同ギャラリーで落成式が行われた。
ジョゼ・マリオ・デ・ファリア市長、エリザベス・フリアス・パレ市教育局長、広島県人会関係者など約六十人が祝福のために駆けつけた。
日伯両国歌、同市歌を斉唱。市田さんは、日本移民の苦労話を説明した後に「ここまでこられたのは温かく受入れてくれたブラジルのおかげ」と涙を流しながら感激を表現した。
関係者一同でテープカット後、アチバイア市の川筋清流太鼓が演奏し、落成式に華を添えた。
同ギャラリーは広さ約三百二十平方メートル。移民百周年を迎えた今年六月の完成を目指していたが、工事の遅れなどにより遅れた。
展示作品は市田さんが約二十五年間収集してきたもの。半田知雄氏など日系画家の作品も数点所有している。今後は一カ月ごとに展示内容を変えていく予定で、原爆に関する展示を行う意向もあるという。
市田さんは、「子どもたちの感性を養うような場所になれば嬉しい。自然を見ながら楽しんでほしい」と期待を込めて話した。
妻の洋子さん(63、広島)は「やって良かった。みなさんのお役に立てれば嬉しいです」と感極まった様子で話した。
同館は、同市内から約二キロ離れた郊外に位置している。見学等詳細に関する問い合わせは(19・3895・2322)まで。