ニッケイ新聞 2008年8月26日付け
国連貿易開発会議(Unctad)は二十四日、ブラジルへは二〇〇六年から二〇〇七年にかけ、発展途上国では最大の直接投資が行われたことを発表と二十五日付けエスタード紙が報じた。投資額は前年の百八十八億ドルから一挙に三百七十四億ドルと飛躍し、中国やインドを上回った。二〇〇八年は世界的に投資が三七%減と落ち込む中、ブラジルへは七月までに二百億ドルが投じられた。
BRICs(ブラジル、ロシア、インド、中国)は七年前、ゴールドマン・サックス銀行がブラジルの台頭を予見して命名した名前であるが、二〇〇六年まで「来る四十年BRICSsの指導者がブラジル」とは誰も信じていなかった。
多くの多国籍企業や大手ファンドが、ブラジルを見直したのは最近のことだ。これまでブラジルの産業発展を「鶏の羽ばたき」と揶揄したが、新しい時代のときめきが今訪れたのだ。世界の投資家が長期投資先として、ブラジルに白羽の矢を立てたからだ。
ブラジルのマクロ経済が、確固とした地盤を築いた数々の現象がある。インフレが、コントロールされている。基本金利は、引き下げ傾向にある。所得の向上、拡大ローンの消化、消費力の激増。自動車産業やゼネコン、食品工業、銀行、電子電気メーカーの業績が順調なことなど。
弱点は、国内市場がBRICs中最小。労働法が現実に即していない。それでも国外投資家は、ブラジルの消費市場に魅力を感じている。
資源では人材と天然資源に恵まれ、BRICs中で最高。アルセロール・ミタルが二十二日、八億三千万ドルを投じて鉄鉱石の鉱山を購入したことで納得できる。その他に、岩塩下油田やエタノールがある。
二〇〇八年のビッグ・ニュースは、ブラジル人の五一%が中流階級入りしたことだ。これでウオル・マートは今年、十八億レアルを投資する。レデ・アメリカーナが十二億レアルを。
もう一つ特記すべきは、ブラジルの技術開発費がBRICs中で最大であること。特に多いのは、ソフト・ウエアとサービス。二〇〇六年には、BRICcsのBは、どこへ行ったといわれた。それが二〇〇七年、コンピューターの爆発的売れ行きで蘇った。