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日系文芸祭=大賞にクリチーバの武井さん=「週五日うすい邦字紙待ち兼ねる記事にあまたの百の字重く」=過去最多2千作品から厳選

ニッケイ新聞 2008年8月26日付け

 第五回海外日系文芸祭代表選考会が東京都内ホテルで九日開催され、厳正なる選考の結果、今年の短歌、俳句両部門の中から最高賞として選ばれた大賞には、クリチーバ在住の武井貢さんの短歌「週五日うすい邦字紙待ち兼ねる記事にあまたの百の字重く」が選ばれたことがこのたび発表された。なお、第五回海外日系文芸祭の授賞式は、十月一日の第四十九回海外日系人大会全体会議(東京都、憲政記念館)で行われる。以下、ブラジルからの応募作品、南米関係や移民について詠んだ作品を紹介する。
 合計応募総数は十四カ国で二千作品(短歌千六十首、俳句九百四十句)で過去最多。国別の応募総数は、ブラジルからが最多で計二百六十六作品(短歌百二十七首、俳句百三十九句)。二番目に多かったのは日本で総数二百五十七、三番目は米国で百三十九作品だった。
 選考委員長の小塩卓哉氏(中部日本歌人会委員長)は「ブラジルへの移住百周年の年であり、海外に在住の日系人の方々と国内の方々が文芸作品を通じて交流することは、各人の内面で理解を深めることでもあり、大変有意義であると思います」とのコメントを寄せ、十月の授賞式では、短歌・俳句の各選者を囲んだ懇親会も予定されていることからより多くの訪日参加を呼びかけた。

 【一般の部短歌部門入賞作品(佳作以上)】
《海外日系人協会理事長賞》
▽地に触れんばかりの乳房重たげに千の乳牛搾乳を待つ(フランコ・ダ・ロッシャ=斎藤光之ジュリオ)

 【一般の部俳句部門入賞作品(入選以上)】
《国際俳句交流協会賞》
▽無位無官白寿の父は虫鳴かす(クリチーバ=岡﨑町子)
《角川「俳句」編集部賞》
▽四方に鰐寄する夜釣の灯を消しぬ(グァタパラ=寺内ユキエ)
《文芸祭賞》
▽白桔梗咲く一角の祖国かな(サンパウロ=新井知里)
▽狐火が豚舎より出た少年の日(モジ・ダス・クルーゼス=松井郁造)
▽ごはんです母の呼ぶ声母の日も(ロンドリーナ=竹田欽二)

 【学生の部短歌部門入賞作作品(入選以上)】
《入選》
▽おじいちゃん大豆収かくあせまみれ必死の労力利益豊作(パラグアイ・アマンバイ日本語学校=中学一年=山脇美音)
▽雨がふり父の笑顔がこぼれるよ畑の麦もよろこぶようだ(パラグアイ・ラパス日本語学校=中学三年=野中真悟)
▽ブラジルの文通相手のひいばあちゃん私のひいばあちゃんの友達だ(愛知県碧南市立中央中学校=二年=石倉侑弥)
▽その昔海を渡った人たちの子孫と歌うふるさとの歌(愛知県碧南市立中央中学校=二年=石倉侑季)

 【俳句部門 学生の部】《入選》
▽紅葉も色を失う星の下(ブラジリア日本語モデル校=八年=日高パウロ・リカルド・リマ)