ニッケイ新聞 2008年8月27日付け
中央銀行は二十五日、企業や個人が高金利に関わらず益々ローンを受けることに奔走と発表したことを二十六日付けエスタード紙が報じた。七月の融資総額は、前月比一・七%増の一兆六百七十億レアルに達し、GDP(国内総生産)の三七%に相当という。金融機関は、平均で三九・四%の利子を徴収している。
ローンの増加は、国民が所得の向上で生活にゆとりを感じ始めた徴と関係者は見ている。法人、個人ともに高金利は、眼中にない。中銀の基本金利引上げの歯止めは、効果がないようだ。
八月十三日時点で平均金利は四〇%、個人ローンの金利は五一・九%にも達する。貸越特別小切手に至っては、年一六五・四%だ。中銀が金利を上げても、返済期限を引き伸ばせば、引き上げ効果など溶解する。
生活費の高騰を先送りすることで、生活の豊かさを即時に満喫しているのだ。明日は、明日の風が吹くということ。企業は消費市場の需要に応えるため、銀行融資を受けて増産する。特に運転資金が必要だ。
中銀は、ローンの限度をGDPの四〇%としている。これを超えると最後の晩餐になり、米国の轍を踏む。ローンの攻勢には、銀行スプレッド(銀行間取引)の影響がある。スプレッドの平均金利は今、二五・六%。銀行は必要な資金を調達するために手綱を緩め、市中金利を引き上げた。
もう一つ、ローンに勢いをつけた理由がある。九十日以上の債務不履行者が四%から四・二%へ増えたが、思ったより少なかったことだ。この程度の損害なら、金利徴収分で十分償却できる公算があるからだ。
特に盛況なローンは、リーシング。自動車の購入には、金融機関からローンを取り付けるより、リーシングで借り受け、後で引き取るのが安くなるからだ。リーシングは年間で、一四一%増の盛況振り。
リーシングがレンタル業者の専売であった時代は終わり、個人のリーシングが一般化している。続いて不動産ローンの三〇・二%増がある。消費市場は二次軍が健在だから、インフレ・リスクはあるものの安泰だ。
中銀発表の他に、サラ金のローンがある。これも加えるとローンは、GDPの六〇%を超えると見られる。表に出せない金を扱う人たちが、アングラ・マネーを必要としているのだ。