ニッケイ新聞 2008年8月29日付け
連邦政府と地方自治体の公債に対する利子返済額が一月から七月までで一千六十八億レアルにも達し、昨年同期比一四・九%増となったと中央銀行は二十七日に発表したと翌日付けのエスタード紙が報じた。公債の金利支払いが七カ月間で一千億レアルを超え、負担となり始めたのは初めてのこと。二〇一〇年の黒字財政計画が、色褪せつつあるようだ。
国庫は堅調な税収増のお陰で、基礎収支の黒字を保っている。だが、利子支払いを含む歳出は、歳入より多いので名目収支では八十五億七千九百万レアルも赤字に転落した。それでも一月から七月の累積名目赤字は、昨年同期比三五%減で一九九三年以来の最低水準とヴァロール・オンラインは報じている。
国庫による投資銀行や投資家へ支払った金利が記録的額となったのは、インフレで全ての歳出が修正されたため。特にインフレ修正付き公債の金利支払いは七カ月で二百二十億レアルとなり、例年の約一年分にも相当した。
四月から始まった基本金利(Selic)の引き上げも、金利の増加に拍車を掛けた。Selicによる負担は年初、月五十億レアルであったが、七月は七十七億レアルへ跳ね上がった。
支払い金利の記録的増加と同引き上げ傾向は、財務省の「二〇一〇年名目収支赤字ゼロ計画」を暗雲で覆った。四月から始まった通貨引き締め政策は、さらに国庫へ金利負担を増やす。その上、世界的な減速経済が税収にブレーキをかける。
ブラジル経済はいま、金利支払い負担で疲れがでてきたらしい。来る数カ月のシナリオは経済の陰りを示しそうだ。最大の悩みは大量発行した国債の金利支払い負担だ。
基本金利引上げ前の年初、均衡財政は安泰であった。財政黒字も達成可能と思われた。だからと今、通貨の緩和はできない。基本金利の四月引き上げは、ブラジル経済の首に縄を掛けた。
産業界は年末に再度、金利の引き上げを行うと予想し、政府財政は金利支払い負担増で窮迫すると見ている。その結果は、二〇〇九年の経済に表れるだろう。
そうなると、中銀は驚いて基本金利を徐々に下げる。そのため税収は減る。政府は経済の舵取りで、リズムを間違えたら大変なことになる。現在は経済が好調で税収増と基礎収支黒字で順調だが、減速経済に入ったら税収減で悪循環になる。
さらに泣き面に蜂が、社会保障制度。二年前の経済水準で調整した最低賃金を基礎に社会保障費は来年、八%で調整しなければならない。