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時代の変化と新聞=オフ・ラインの橋渡しを

ニッケイ新聞 2008年8月29日付け

 全国新聞協会(ANJ)主催の第七回新聞大会が、十八・九日に開催された。十九日の発題者は、仏紙リベラシオンが哲学者サルトル氏の提案を入れ、特集「現在の世界情勢をどう思うか」を発行したことで、同紙が売上高を急減させたことをテーマにしたと二十日付けヴァロール紙が報じた。
 何故、急減したのか。特集の編集がつまらなかったのか。世界情勢に興味がなかったのか。同紙の購読を止める理由が他にあったのか。同紙の例は、二十一世紀における新聞と読者の関係を複雑に示している。
 読者は、ありきたりの情報よりも深く掘り下げた情報を欲している。しかし、それは編集者として時間がないし、広く情報収集することもできない。編集者の悩みは、そこにある。限られた時間で読者の要求に応えることは、至難の業。
 読者は、沈思黙考のできる日曜日の新聞購読を楽しみにしている。調査によれば、新聞を読む時間は平均三十分。自分なりに結論を出すには、一時間となっている。
 新聞は読者の関心は何かを、認識して欲しいという意見もある。心理学的にいえば、他より優るため何かが欲しいのだ。それを読者の立場で、読みやすく意義ある内容にという注文だ。
 時代はオン・ラインに向かっているが、その前のオフ・ラインは、まだ終わっていない。オフ・ライン時代にやり残していることが沢山ある。従来の新聞にもう一味加えた新しい新聞で、思い切って賭けて見ることも重要ではないかとニュース・デザイン紙のエレア氏が訴えた。
 読む新聞から見る新聞への試作品が、多数出品された。そこから十品が優秀作品に選ばれた。しかし、どこでも通用するかは疑問だ。各国の習慣や文化に応じて、現状打破の参考にする。
 新しい新聞は読者の注意を引き、見てもらうことがポイントとされる。新聞には、社説とかポリシーなど保守的な面があった。前衛派への配慮や新聞の社会的影響を盾に柔軟性を欠いた。IT時代の新聞は変化するが、新聞や情報が不要になるのではないという。