ニッケイ新聞 2008年8月29日付け
食料・エネルギーと観光、そして教育――。現在二期目をつとめる西森ルイス弘志パラナ州議会議員(PSDB)はこの三つを、これからのブラジルのキーワードに挙げる。十三日、今年八月までの政治活動報告のため本紙を訪れ、「今期中に八十の法案提出を目指しています」と意気込みを語った。
現在二期目の西森州議。ローランジアにのべ七万五千人以上を集めたパラナ州百周年式典では式典委員長を務めた。
州議としては、現在までに六十の法案を提出。その一つ「パラナ・リンポ」と呼ばれる法案では、公共の場でのゴミ捨て禁止や、ボランティアによる河川清掃などを通じた州レベルの美化運動を提唱している。
また、議員グループを作り、観光名所や食など、州内の町ごとに特色を打ちだす観光奨励策も進める。地元マリンガでは原始林や植物園などを観光資源として挙げる。
それ以上に重視しているのが、教育部門だ。現在、州立学校を全日制化する案を打ち出している。給食や教科書を無料配布し、夕方にスポーツ・文化活動などにあてる。アラポンガスのように、市レベルでは既に実施しているところもあるという。州財政が厳しい現状を説明しながらも、「ブラジルの発展は、教育が無ければ進まない。土台だと思う」と力を込める。
さらに同州では今年、四度目となる経済使節団を組織し、中国、日本を視察した。「中国には食料需要はじめ大きなポテンシャルがある」。同使節団にはパラナ州農業共同組合シンジケート(OSEPAR)の代表も同行し、日本の大手商社、全農なども訪問した。
西森州議は「エネルギー、食料などを世界に供給できるブラジルには輝かしい将来がある。観光面でも伸びると思う」と述べる一方、「ブラジルに欠けているのは教育」とし、「小さなことから始めたい」と語った。
式典委員長をつとめたローランジアの百周年式典に関しては「皆さんのおかげで、いいものができた」と感謝を表し、さらに同州百周年の特徴として各地で大きなプロジェクトが続いていることを挙げた。
ロンドリーナの中川トミ広場は完成、マリンガの日本公園、クリチーバの百周年公園、アサイの城のほか、バンデイランテスでは市が「日伯文化センター」の建設を進めている。これらの事業に連邦が拠出した金額は千六百万レアルに上るという。
その他にも二十六市で百周年モニュメントが設置されるなど、まさに州挙げての慶祝になった。
百周年を振り返り、「日本語がわからなくても、日本の文化、伝統を日系人として守る人に出てきてほしい」と話す西森州議。「リーダーは若者の中から、文化活動を通じて出てくる。その場を作ることが文協や、私たちの仕事だと思う。百周年を終えた今、そう感じます」と語った。