コラム　オーリャ！

ニッケイ新聞　２００８年８月２９日付け

　植物学者の橋本梧郎氏が亡くなった。
　ブラジルの植物分類学における貢献はもちろんのこと、パラナ州グァイラに日系による創立としては初の博物館を設立、パラナ開拓農業博物館の資料収集などの業績も忘れてはならないだろう。
　〇一年にパタゴニア、卒寿を迎えた〇五年には、ギアナ高地へと赴いた。その飽くなき探究心は亡くなる直前まで絶えることなく、最後まで文章を書き、調査を続けていたという。
　六月二十日の皇太子殿下のご接見で二十六年ぶりの再会を喜ぶ姿が、公式な場に顔を見せた最後となった。
　生涯に収集した標本は個人所蔵では世界有数とも。出身の静岡県菊川市には橋本氏を顕彰した南米植物もあるという。　　記者は残念ながら電話だけのお付き合いだったが、その温厚な話しぶりをよく覚えている。冥福を祈りたい。　　（剛）