ニッケイ新聞 2008年8月30日付け
夏の甲子園再現へ――。ブラジル日本移民百周年を記念した十一年ぶり四回目の「日伯親善高校野球大会」が、三十日のバストスを皮切りに、五都市で八試合行われる。日本選抜は、今年行われた夏の甲子園大会でベスト八に入ったチームを中心に二十人の選手が来伯している。今年の大会も様々なドラマを生み、数々の感動を与えてきた。ブラジルの大地でも熱いドラマが再現される。
ブラジルで行われた高校野球の親善試合は、一九六九年に開催されて以降、八八、九七年と過去三回開催。今年十一年ぶり四度目。ブラジルからは、九二、九八、〇七年と三回訪日している。
日本選抜は大会終了後、大阪市内で一週間の合宿を行って、アメリカ選抜のアーバンユースアカデミーと二十五日に甲子園での試合で、十一対二と投打で圧勝した。
一方、ブラジル選抜は〇七年に、群馬、茨城、福島、岐阜、三重、東京の各選抜チームと八試合行い、三勝五敗の成績。今回の代表チームは、昨年のメンバーの大半が残っている。
今回の派遣団の団長を務める脇村春夫日本高等学校野球連盟会長は「甲子園で見せたハツラツとしたプレーをしてほしい」と選手に期待を込める。また「ブラジルほど日本人、日系人の地位が確立されているところはないと思っている。そんなところも肌で感じて欲しい」と話した。
日本選抜の監督を務める西谷浩一大阪桐蔭監督は「ブラジルという日本と関係の深いところで試合ができることが嬉しい」と素直に喜び、「全て勝つつもりで挑む」と力強く語った。最後に「ブラジルの選手たちと交流して、良い財産になれば」と希望を述べた。
初めて海外を訪れた浦添商業(沖縄)の山城一樹捕手(三年)は「ブラジル人がどういう野球をしているのか見てみたい」と目を輝かせた。「不安はあるけども、しっかりと楽しみたい」と力強く語った。
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今回、選抜チームには注目選手が多く来伯している。
投手では、九八年の横浜・松坂大輔投手(レッドソックス)以来、決勝戦で完封試合を演じた大阪桐蔭・福島由登投手をはじめ、球速以上に速さを感じさせる投球が持ち味の報徳学園・近田怜王投手、日本プロレス界の父、力道山を祖父に持つ大型本格派左腕の慶應・田村圭投手、高校生ナンバーワン左腕との呼び声高い赤川克紀投手(宮崎商業)など楽しみな選手が揃っている。
一方、野手においては力強い打棒が持ち味の選手が多い。大阪桐蔭・萩原圭悟内野手は夏の甲子園大会中三試合連続ホームランと、一大会個人最多の十五打点を記録。また、一イニング二ホームランの大会新記録を樹立したスラッガー坂口真規内野手(智辯和歌山)。プロ注目選手の一人で強肩、巧打の持ち主地引雄貴捕手(木更津総合)など多彩な顔ぶれが揃う。
さらに、決勝戦で満塁ホームランを放つなど活躍を見せた大阪桐蔭・奥村翔馬外野手、昨年から存在感を表しだした注目の強打者伊藤慎悟外野手(常葉菊川)などの好打者も目に付く。
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入場料は各地十レアル(ボン・レチーロ球場は無料だが、整理券が必要)。整理券等の問い合わせは同連盟(11・5034・9904)、またはパウリスタ野球連盟(11・3209・4426)まで。
各地の試合開始時刻は次の通り。(開会式はバストス、モジが午前九時。その他は午前八時半)。【三十日】バストス(バストス日系文化体育協会)=午前十一時。【三十一日】ロンドリーナ(ロンドリーナ文化体育協会)=午前九時半、午後一時半(二試合)。【九月三日】カンポ・グランデ(南マット・グロッソ野球ソフトボール連盟)=午前九時半、午後一時半(二試合)。【六日】モジ・ダス・クルーゼス(モジ文化協会)午前十一時。【七日】サンパウロ(ミエ・ニシ球場)、午前九時半、午後一時半(二試合)。