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ブラジルの審判教えた鈴木さん=試合観戦、墓参のため来伯

ニッケイ新聞 2008年8月30日付け

 日本の六大学や社会人、高校野球の審判員として約二十年にわたり活躍し、審判指導員としてブラジル野球の発展に貢献してきた鈴木康夫さん(76、千葉県千葉市在住)が七日、来伯した。
 五回目の来伯となる今回は、移民百周年を記念して八月初旬にブラジル各地で行われた早慶戦をすべて観戦、今月末から九月初旬に各地である「日伯親善高校野球大会」も観る予定だ。
 鈴木さんは一九七四、七八年、東芝の社会人野球チームの付き添い審判員として来伯。八三年に引退後、翌年二カ月間、サンパウロ州バストスやアラサツーバ、プ・プルデンテ、パラナ州マリンガやロンドリーナなどを訪れ、ブラジルの審判員と〃交流〃しながら、技術指導にあたった。
 鈴木さんに指導を受けた元審判員の国井精さん(73、二世)は、「鈴木さんは日本のやり方を押し付けるようなことはなかった。鈴木さんのおかげでブラジルの審判技術はとても向上した」と深く感謝する。
 〇二年にも来伯し、鬼籍に入った審判員一人ひとりの墓参りに訪れた。今回の来伯時でも、さらに亡くなった三人の墓を訪ねた。「家族の人には見知らぬ日本人がいきなり来て驚かれたこともあります。でもこれは野球の先輩方への感謝の気持ちから。これまで三十人のお墓を訪れました」。
 現役の審判員時代には、本業の作業服屋を営むかたわら、全国各地を飛び回り、年間で八十もの試合を担当した。現役最年長投手として横浜で活躍する工藤公康選手(当時・名古屋電気高校)が、八一年の夏の甲子園大会で、ノーヒットノーランを達成した時に審判をつとめたことも、良い思い出と話す。
 今回の早慶戦を観た感想について、鈴木さんと国井さんは、「最近のブラジルの審判員はアメリカや中南米のスタイルを真似ている印象。私たちが心がけてきた単純明快で、観ている人に分かりやすいジェスチャーや技術を学んで欲しい」と述べ、更なるブラジル野球の発展に期待を寄せた。