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盗聴行為が最高裁に及ぶ=野党は弾劾を示唆=情報部の中に秘密組織か=軍政時代のR2メンバー?

ニッケイ新聞 2008年9月2日付け

 ルーラ大統領は八月三十一日、国家情報部(Abin)が最高裁のメンデス長官の電話を盗聴していたことを憲政制度への抵触と認識したことを九月一日付けエスタード紙が報じた。大統領府は、旧SNI(国家情報局)の仕業と見ている。一方、野党はAbin幹部全員の処分を求め、場合によっては大統領を弾劾すると示唆した。
 政府機構内の盗聴を巡って政治システムの乱れが問題となっていたが、Abinが最高裁に盗聴設備を設置していたことが判明した。高性能の盗聴が日常茶飯事となった現在、行政制度のあり方が見直されることになりそうだ。
 最高裁長官の要請で、大統領を囲み、最高裁次官や選挙高等裁裁判長による会議が召集され、週刊誌「ヴェージャ」の報道記事を話し合った。同長官は、韓国訪問を始め数々の予定を中止した。
 同長官の言葉を借りるなら、政府管理を反故にした公団が、豊かな資金を流用し屋上屋ともいうべき秘密組織を結成したというのだ。
 Abin所属の大統領護衛局長官フェリックス将軍によれば、誰の犯行か分からないが最高裁盗聴は事実という。これまでにAbinは、数々の事件で背後に潜み、問題に油を注いできたと再々、槍玉に上がったが実証されたことはなかったと同将軍が証言した。
 大統領府とAbinは、旧SNIエージェントの存在が気になっていた。軍政時代に特殊訓練を受け、どんな組織になっているか、どこへ雇われたかは不明だ。
 最高裁に仕掛けた盗聴設備三つのうち二つは、旧SNIのもの。同様の設備が、アウベス上院議長や主な与野党上議、官房長官、憲政相の電話にも仕掛けてあった。
 軍政時代にエージェント第二軍として養成されたR2メンバーが、秘密組織を結成しAbinの人事移動に乗じ潜伏する。決して身分を明かさないから、Abinをどのレベルまで蝕んだかの実体は不明なのだ。
 野党はAbinの関係者全員を盗聴責任者として処罰するよう求めた。大統領が裏金疑惑と同様に、詭弁で臭いものに蓋をするなら、大統領の弾劾手続きを開始すると声明を発表した。