ニッケイ新聞 2008年9月4日付け
サトウキビの絞り粕バガスが発電用熱源となり、さらにカーボン・クレジットの取引き対象や繊維アルコールの原料、飼料、堆肥として新たな注目を浴びていると三日付けエスタード紙が報じた。九〇年代までは、邪魔者扱いにされ、無料で配布されていたものだ。
砂糖やアルコール製造業者は、バガスを副産物として、添加物を加え発電用ペレットなどに商品化し、EU向けに輸出の計画もたてている。
エタノール精製所では、バガス専用の高圧ボイラーが開発されて熱効率が向上し、貴重な発電用熱源として重宝している。改良型ボイラーは、同量のバガスで、五倍の熱量が出るらしい。
七十五メガワットの発電機を回せば、自家用には二二%で間に合い、残りは売ることができる。精製所の副業に、バガス発電を行う所は多い。
サトウキビの収穫期は、ちょうど降雨の少ない乾燥期に当る。降雨不足で発電機が止まる時期にバガス発電を行える。バガス発電がフル稼働すると、三二%のクリーン・エネルギーが産出される。
バガスは将来、熱源用と液化バガス二つの原料になりそうだ。ブラジルはエタノール先進国であり、液化バガスの技術では長い歴史がある。
液化バガスのパイオニア、M・デジニ社は、有力企業の協力を得てピラスヌンガに液化バガスのパイロット工場を完成した。液化バガスはセルロース・エタノールの原料になるが、液化は塩酸使用か酵素使用かの岐路にあるようだ。
精製所から出るバガスの総量は、今年の収穫だけでも五億七千万トンと見積もられ、自家発電に使っても、一億四千万トンのバガスが残る。精製所の近くには石炭のボタ山ならぬ、バガスのボタ山ができている。