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CNPE=陸上油田で新規入札へ=従来の許可制継続=小企業向け門戸開く=朝令暮改の政府石油政策

ニッケイ新聞 2008年9月5日付け

 エネルギー政策審議会(CNPE)は三日、新たな陸上油田の試掘入札を二回、年末までに行う意向を表明と四日付けエスタード紙が報じた。新公社設立など色々政策変更が噂されたが、当分は従来の許可付与方式で石油開発に臨む方針らしい。海底油田や岩塩下は除き、初めて陸上の油田試掘を行う。陸上油田は、試掘小企業向けに門戸を開いたもの。
 油田の国家管理や岩塩下油田の独占公社設立などでエネルギー市場を騒がせたが、当分は従来方式を続ける方針を政府が表明。今回は、利益の少ない陸上限定という。
 陸上油田試掘の入札は、原油庁(ANP)も初めて。場所は、十州にまたがる百七十一鉱区。さらに、ペトロブラスによって油田の存在が確認されたバイア州盆地の十九鉱区も入る。入札予定日は、十二月三日と十八日となっている。
 今回の入札に岩塩下油田を含まないことでロボン鉱動相は、既得鉱区の試掘も十分でないのに既得権だけを独占し試掘を頓挫させるのを避けたと弁明した。石油法の改正は延期する。それまで、海底油田の入札はしないらしい。
 ペトロブラスの扱いについてルーラ大統領は、得意の二枚舌を使った。原油に関する管理基準の変更を表明したり、後戻りをしたり。ペトロブラス株は今、六〇%が外国人や民間人の所有だ。
 岩塩下油田の開発は、ペトロブラス抜きでできないことを政府は悟ったらしい。超深海の油田開発でペトロブラスの技術は、世界的にも抜群だ。政府は大油田の扱いで迷ったらしいが、三つの結論に達した。
 一は、PT(労働者党)政権にとって新公社の設立も管理基準の変更も不要。二は、教育振興と貧困撲滅を宣伝文句に、短期間に大金を手に入れるのが得策。それには従来方式で行く。三は、次期政権は餅をつくだけ。次々期政権辺りが、餅の食い時という計算だ。
 岩塩下油田をペトロブラスに任せても、株主にあまり配当をしないでグループ企業の育成に力を入れる。さらに岩塩下油田には、公債が限度を超えたので公的資金を投入せず、民間資本を使う心算のようだ。