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サンパウロ市証券取引所=今年3度目の高波襲う=米金融危機が煩わす=株価指数4・5%も再暴落=長期的にブラジルは高みの見物

ニッケイ新聞 2008年9月11日付け

 サンパウロ市証券取引所は九日、国際的金融パニックの余波を受け前日に続き株価指数を四・五%下げ再暴落と十日付けエスタード紙が報じた。絶頂時の五月二十日から見ると、九日までに三四%下げた。ドル通貨は二・〇七%上げ、一レアル七七二につけた。これから金融市場は、夜明け前の暗闇を迎える。
 二〇〇八年に入って、三度目の金融パニックの高波が襲った。ドル通貨は七月三十一日の最低時一レアル五六二から見ると、一三%の高騰。米不動産大手二社の救済で安堵の胸をなでおろしたのも束の間だ。
 ミング経済研究所は、この金融危機を次のように分析した。不動産業界のタイタニック号は氷山に衝突し、付近を航行中の船舶を巻き込みそうな処を米財務省の救助で難を避けた。しかし、市場がホッとしたのは、僅か一日であった。
 二千億ドルに上る大輸血も、病状回復には不十分であった。ボベスパの投資家らは介入前夜、これで一件落着と祝杯をあおったが、九日は祝杯の酒がこぼれた。リスク投資はなし。これは、慎重を期して石橋も渡らなくなったのだ。
 三月にベア・スタンズ銀行が買収されたとき、銀行を倒産から守り、取り付けを避けた。銀行倒産は連鎖反応を起こし、金融システムの崩壊につながるので最悪だ。
 米財務省が注ぎ込んだ二千億ドルは、米国家予算の半分で大金。それもペロリと飲み込むほどの深刻事態のようだ。
 今回はタイタニック号の遭難を避けたが、毎回そんなことができる保障はない。これから起きることを、どうやって救済するかが課題だ。
 原油と食糧は今のところおとなしいが、何時鎌首をもたげるか分からない。ブラジルにとって対岸の火事とはいえない。インフレの兆候が表れたら、基本金利を引き上げて不況を呼び込むか。
 不況は国際経済をマヒさせるが、それにクレジット不足が追い討ちをかけ、不良債権で青息吐息の銀行を窮地に追い込む。経済活動は、ぬるま湯に浸かっている。湯から出たら、風邪でなくうつ病になる。
 それとも猛烈インフレを伴う景気低迷になる。このような世界情勢の中、ブラジルは軽症のほう。先進国の減速経済で輸出は激減、低率経済成長、不安定な金融市場に見舞われる。芝居は目出度しで終わるが、それまで七転八倒の胃けいれん位は覚悟することだ。