ニッケイ新聞 2008年9月12日付け
サンパウロ大学(USP)で写真ジャーナリズムを教えるアチーリオ・アヴァンシーニ教授(55)が移民百周年を記念して、写真集『Entre Gueixas e Samurais』(芸者と侍の間で、imprensa official)をこのほど刊行した。
USPとの協定により、〇六年四月から一年間、京都外国語大学でブラジル文化を教授した機会に、日本各地を旅して折々の四季を撮影したものに、日本文化の深みを説明する文章を自ら執筆した。特にお気に入りは京都、有名な龍安寺の石庭だという。「石の配置一つに深い意味があるとの説明を聞き、感銘を受けた」。
アヴァンシーニ教授は「モダンと伝統が生活の中で不思議な共存をしている」と日本の魅力を説明する。その感性で捉えた瞬間が、七十二枚の白黒写真に活き活きと写し取られている。一般化したデジカメではなく、愛機Nikonのフィルム撮影にこだわった。
八日に共に来社した京都外大の田所清克教授は「写真だけでなく、文章の方もたいへん詩的で読み応えがある」と絶賛した。田所教授は、九月初旬にサンパウロ市で行われた第二十五回世界ポ語シンポジウムに参加し、日本におけるブラジル文学の紹介状況などを説明した。
「マッシャード・デ・アシスなどブラジル文学の古典がもっと日本で知られても良い。スペイン語の南米文学に比べて紹介が遅れている」と指摘する。ブラジルでも日本文学がもっと普及してほしいとの期待を込め、「ブラジルで彼のような日本文化の理解者が増えることは本当にありがたい」と語った。
インプレンサ・オフィシャル刊行物取り扱い書店で入手できる。