ホーム | ブラジル国内ニュース(アーカイブ) | 高等教育レベル格付評価=31%の大学は改善が必要=エリート校の苦学生14%

高等教育レベル格付評価=31%の大学は改善が必要=エリート校の苦学生14%

ニッケイ新聞 2008年9月16日付け

 一九九〇年代の大学拡張や大学教育推奨計画(ProUni)浸透などで大学進学者が増えたブラジル。高等教育の広がりとともに、大学間格差拡大の他、教育の機会均等などの課題も出ている。
 学部評価で改善命令の出た大学のことは一部既報だが、八日発表の文部省高等教育機関格付け評価では、総合大、単科大、高等教育センタ―毎のランクも出、各大学のレベルがわかると同時に、学生のプロフィールなどに社会的格差が反映されている事も判明。要改善の学校は三一%。
 九日、十三日の伯字紙によれば、全国総合テストや、専門分野での習熟度、教授陣や施設などの評価を総合して算定した総合指数(IGC)で五(五〇〇満点の三九五点以上)を獲得したのは、一一四四機関中二一で、全国の高等教育機関在学生の一・三%が学ぶ。
 二一機関内では、リオのFGV(経済)始め、歯科、経営などの私立単科大学が圧倒的で、最高点は四八三。単科大では国立航空技術研究所(ITA)が五位に入ったが一〇位までは国立一、州立一。単科大六位は総合大一位のUnifespより高得点。総合大学一〇位中九校が国立。高等教育センターで総合評価五はなく、一〇位までは国立、私立半々。
 エリート校二一大学の学生は親と同居七五%、授業料支払いは親五三%で、私立高卒約六〇%。授業料は全体に高く、国民の七一%を占める家族収入三最低賃金(以下、最賃)以下の家庭子弟は一四%。三~一〇最賃の家庭子弟三九%。授業は日中が大半。
 一方、全体の三一%を占める総合評価一か二の教育機関中、一と評価された九校は家族収入三最賃以下が三四%、三~一〇が三一%。半分は夜学で五二%が勤労学生。家族援助のある学生もいるが、自分が家計の中心という学生もいる。
 家族収入三最賃以下の学生は公立校に多く、ヴィソザ連邦大学では二四%だが、サンパウロ市FGVはゼロ。家族収入が低い私立校生は、学校支援の奨学金の他、ProUniによる支援を受けている学生が年一五万人いる。
 また、総合評価一、二の教育機関は、改善されない場合は閉鎖もありうるが、十三日フォーリャ紙は、文部省の改善勧告やその後の視察、再評価は不充分で、閉鎖に至った学校は一校のみ。
 なお、国内一、二を争うサンパウロ総合大学やカンピーナス大学他、IGC評価対象外の大学は約四〇〇校ある。