ニッケイ新聞 2008年9月18日付け
全国環境審議会(Conama)で硫黄分五〇ppmのディーゼル(S50)導入は二〇〇九年一月からと再確認後の十六日、ペトロブラス(PB)と国家原油庁(ANP)に対し、〇九年からの新基準適用を義務付ける仮判決が出された。
六日本紙既報のように一度は導入先送りと見られたS50ディーゼルは、十日のConamaでは、従来案通り〇九年一月から導入と確認。硫黄分一〇ppmのS10導入も二〇一二年からとされ、五週間後に最終表決されると十一日伯字紙が報道。Conama前に多方面から圧力を受けた環境相は妥協を避けざるを得なかったようだ。
一方、PBとANPに対する仮判決は、サンパウロ州環境局などの求めに対して第一九連邦裁民事法廷が下したもので、〇九年一月のS50ディーゼル導入遵守を命令。この仮判決では、ガソリンスタンド毎にS50用給油機最低一機の設置を義務化。ANPに対しても九〇日以内のS50の供給正常化を義務付けた。
S50ディーゼル対応車生産は二〇一〇年以降と報道されていた件も、輸出用のものは既に生産中と十三日フォーリャ紙が報じ、仮判決でも、新しい車両にはS―50給油を義務付けた。
一方、〇九年一月は、車による大気汚染統制計画(Proconve)の最終段階規制の適用開始期日でもある。この計画は乗用車の排気ガス規制などを定めたもので、乗用車に対しては一九九七年以来二段階の排気ガス規制強化を実施。
これに対し、一九九八年には走行車両の六%だけだったバイクには特別な規制がなく、二〇〇八年には一二%、二〇一八年には二一%と予想される流通量の増加に対応できていない。
問題となるのは、発ガン性を持つ炭化水素排出量は乗用車の七倍ともいわれるバイクの排気ガスで、十日フォーリャ紙は、一〇年後のバイクによる汚染物質排出量は乗用車のそれを上回るとの研究報告を報じている。
汚染物質排出量の四五%を占めるディーゼル車向け燃料規制が最優先という環境省だが、バイクの流通量増加が予想以上であることが明らかになった今、バイクの排気ガス浄化装置の基準作成など、現状に即した変更も加えないと大気汚染大幅改善は困難となる。