ニッケイ新聞 2008年9月18日付け
傘下団体一つ一つに「町ごとに何か一つの百周年事業を」と呼びかけてきた聖南西・リベイラ連合。ヴァルジェン・グランデの隣市カウカイア・デ・アルトでは、会に参加していない地元日系人を集めたフェスタを企画し、一軒一軒を訪問して招待状を渡した。「お金がなくてね」と同地関係者は苦笑するが、二週間かけて案内した結果、約三百人が参加したという。その町ごとに記念の行事・事業を行なって、身近に百周年を祝う。そうした情熱が地域日系社会の活性化にもつながるのだろう。
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全伯短歌大会で感謝状を贈られた安良田済さんは、「短歌より歌人が好きだ。歌人に悪人はいない。死ぬまでこの大会に参加したい」とあいさつ。十月に九十三歳になるが、短歌への情熱に衰えがない。上妻代表は「安良田さんは椰子樹一筋、怪物ですよ。資料整理もきちっとしていてすごい」と賞賛する。一九二九年に十四歳で渡伯した安良田さん。清谷益次さんもそうだが、戦前の子供移民世代がコロニア文芸に及ぼした影響は大きい。相次いで同文芸に関する出版物が日本で出されるなど、存在価値は近年さらに見直されている。
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コロニア初のレコード会社「ユタテ・レコード」が昨年の創立以来初となる専属五人のプロ歌手によるショーを開く。今までのこういった催しといえば日本から来伯した芸能人かアマチュアによるものだが、松岡社長は「コロニアのプロとして」と強調する。また計八回のショーは全て日本語で行うという。聞けば、「百周年でもあり日本人移民へのレスペイト」からだとか。政府や企業の協力に頼りきりで自助努力を行わず、一世の顕彰を謳いながらもポ語で押し通す某日系団体とは大違いの心意気だ。