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サンパウロ市証券市場=外国人投資大挙引き揚げ=最有望市場に試練=米危機回復までの辛抱=政府が投資奨励対策へ

ニッケイ新聞 2008年9月19日付け

 サンパウロ市証券市場(ボベスパ)は十七日、外国人投資家の大挙引き揚げで株価指数を六・七四%も下げ、外国人投資収支は九月だけで七億レアルの赤字、一月から百七十億レアルの赤字と十八日付けエスタード紙が報じた。マンテガ財務相は、国内企業にとって国際金融での資金調達が困難になるとの見通しで、投資奨励法の起草を表明した。
 米金融市場混乱の様子は、ワールド・センター・タワーが崩れ落ちるのを見ているようだ。次は誰の番かと関係者は固唾を飲んでいる。米金融市場の影響でボベスパは十七日、今年二番目の高波を受けた。ドルは二・六四%上げ、一レアル八六八となった。
 外国人投資家が、ブラジルに投下した資金を引き上げ、米国にできた赤字の決済に狂奔している。背に腹は代えられないと、常軌を逸した投売りをするから悪い。
 米金融市場が回復し金融システムを再構築するまで、ボベスパの戸惑いは続くらしい。ただ米国が異なるのは、他の国が修復に数年か十数年かかることを数日で実行することだ。鯛は腐っても、鯛らしい。
 新情報では、米最大の貯蓄銀行ワシントン・ミューチュアルが競売に付された。シティグループに吸収されるらしい。さらに投資銀ナンバーツーのモルガン・スタンレイが、ワコビアと合併との報道がある。大手投資銀行で最後に残ったのは、ゴールドマン・サックスだけになった。
 米系多国籍の本国送金は、いまだかつてない勢いである。本社の一大事で、支店のヘソクリまでかき集めたようだ。過去十二カ月で四四%増の九十五億ドルに上り、日本や中国、ロシアからの送金を上回った。
 一方、日本や中国、ロシア、インドからの送金は合計で一五・五%増に過ぎない。これは米国が、ブラジルを投資先として重視したためだ。
 金が十七日、一オンス(三十一グラム)九十ドルで史上最高値を記録した。金は戦争などの非常時に注目され、金融ストレスを象徴している。
 ボベスパは、まるで戦後のノミの市だ。十五日までのブラジル関係株の暴落ランクは、次の通り。()内は下落幅。Agrenco(九五・四%)、Laep(九三・二%)、Inpar(八八・八%)、Gradiente(八五・九%)、Abyara(八二・七%)、Ienergia(七九・八%)、Positivo(七九・六%)など。