ニッケイ新聞 2008年9月19日付け
交通安全週間(十八日~二十五日)にあわせ、十八日エスタード紙が発表したサンパウロ市の交通事故統計によると、二〇〇七年の交通事故死は一五六六人。交通事故により、一日に四・三人が死亡、七二人が負傷したという。
一日に四・三人の内訳は、歩行者二人、バイク利用者一・三人、車利用者〇・八人自転車利用者〇・二人。年間では、各々、七三六人、二八一人、四六六人、八三人。
これを、人口六一〇〇万人の英国の一日八人や、ニューヨークの一日〇・七人との数字と比較すると、サンパウロ市の交通事故死者の多さがわかる。
二〇〇六年と〇七年の比較ではバイク利用者の死亡が二二・六%増。十日フォーリャ紙によれば、サンパウロ市内のバイクの数は一九九八年の三〇万台に対し二〇〇八年は七〇万台。バイクでの死亡者増は走行量増以上だ。
十日フォーリャ紙は、バイクの走行量増は公共交通手段の欠如と交通渋滞の悪化が原因としているが、車より不安定で、体を保護する部分が少ない、識別しにくい、車の間の走行や二人乗りなど、事故につながる要因も多い。
その意味でもっと危険な自転車利用者の死亡は、二〇〇四年の五一人が、〇七年は八三人と六二・七%増加。道路の状態が悪いことが死亡事故につながる率も、バイクや自転車の方が高い。
また、事故多発個所は、両マルジナルやエストラーダ・ド・Mボイ・ミリン。セルソ・ガルシアとサリン・ファラ・マルフ、ド・エスタードとサントス・ドゥモン、パウリスタとブリガデイロ・ルイス・アントニオの各大通りの交差点での事故も多く、被害者の出た交差点での事故の二五%、曜日で最多は土曜日で、金曜夜から土曜未明勤務の救急隊員は事故処理に追われるという。
また、後遺症に悩む被害者は死者数の倍。骨折や切断、むち打ち症などでリハビリが必要な場合は、車の強制保険から二七〇〇レアル以上の補助も出るが、事故により、命や夢、家庭を失う人は表面的な統計以上に多いことも銘記すべきだ。
事故削減には罰則や教育、環境整備が必要というが、市長や市議候補が訴える交通対策も渋滞対策のみでは不充分。安全対策、補償対策も念頭に置いて聞く必要がある。