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不法な居住や伐採続く=一年半遅れでサンパウロ州議会へ=ビリングス湖周辺規制案

ニッケイ新聞 2008年9月25日付け

 二十四日エスタード紙が、サンパウロ州ビリングス湖周辺の市街化規制案が二十四日に州議会に提出されると報じた。
 二〇〇七年四月に提出予定だった同規制案は、移転の必要な区域や土地所有証明発行などを規定するが、その一方、同湖の利用目的の第一は貯水池か、クバトン市の発電所の発電・エネルギー供給源かという問題や、水質管理の責任者は誰なのかといった問題には答えていないという。
 同湖周辺居住者は現在約一〇〇万人で、サンパウロ市六〇万、サンベルナルド市二〇万、残り二〇万はサントアンドレ、リベロン・ピーリス等に居住。大半は、自然保護区域内の違法な土地分譲によって入居した人々で、重金属汚染などの危険地区、下水道未整備などの問題も抱えている。
 サンパウロ市居住局ではこのような保護区域や危険区域に住み移転が必要なのは四四三八家族と考えているが、移転は容易ではなく、移転後の土地に再び不法入居者が入ってくることは想像に難くない。
 サンパウロ市居住局担当者は、「規制案の提出は大きな進歩」と評価するが、同地域を統一する規制がなかったことは、下水垂流しや、ピニェイロス川氾濫防止のための水の汲み上げによる泥の堆積や重金属汚染区域の発生などを許してきた。
 ビリングス湖保護条例は七〇年代からあるが、ここ数年の自然破壊は無制限な市街化で三〇%以上拡大。過去三年の伐採は一時間に二〇平方メートル、五万八〇〇〇ヘクタールに及ぶ。毎秒二八立方メートルあった湧き水が一二立方メートルに落ちたのも、下水や浸食作用、違法な土地占有のせいだという。
 無計画で無制限な市街化による被害者はビリングス湖であり水の利用者だが、周辺住民たちも、湖の傍に住みながら水の供給が不安定だったり、頻繁に起きる停電に悩まされたりしている。
 保護条例制定後も不法な土地や家屋の売買が継続した同地域では、今回の規制案提出によって環境に優しい材料での舗装なども義務付けられるようだが、九日エスタード紙に、大サンパウロ市圏で未処理のまま流される汚水は一日五〇〇リットル、サンパウロ州水道局の下水処理施設につながらない下水管は一〇万件以上とあった責任の一部改善も望まれる。長期計画がなく、後手後手に回る行政のあり方にも改革が必要だ。

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