ニッケイ新聞 2008年9月27日付け
中央銀行は二十五日、国際的金融混乱の中、国内の経済情勢は安定しており、懸念されるインフレの心配はないとする報告書を発表の意向と二十六日付けエスタード紙が報じた。ブラジルの金融システムは健全で米危機の影響は、最小限に食い止められる見通し。為替変動は一定枠内に抑え、政府財政も安定。米金融危機に振り回されないという。
中銀は六月、報告書にインフレを巡る懸念を明らかにしなかったとして批判された。しかし、時間が事実を証明するとして、情勢の展開に中銀の正論を賭けた。
ブラジルには潜在的なインフレ・リスクが常にあるが、経済の基礎条件は他の諸国と較べて概ね良好。しかし、米金融危機は予想より深刻で、ブラジルも資金枯渇を肌身に感じざるを得ない。
流通量不足は、世界的傾向で誰も金融危機から免れない。しかし、ブラジルは幸いに備えがあるので、諸国の窮状を尻目に金融危機を克服すると中銀関係者がいう。
中銀通貨委員会は、危機に対処する処方箋を用意しているから金融ストレスを解消する。将来の買戻しを前提に、中銀は手持ちドルの放出を行う。銀行預託金の割引と徴収延期で、金融市場へ百三十二億レアルを注入。
ドル放出と預託金減額は、市場を刺激せずに流通量を調整する適宜なタイミングで行われた。まだ初期的対処であるが、これで非生産的な銀行間取引は制限される。これは、通貨政策ではなく通貨調整といえる。
金融専門家によれば、「当面のブラジル市場に大きな危険要素はない」という。一レアル六〇から一レアル八〇の線で為替変動するのは、政府財政にとって肯定的な効果をもたらすと分析する。
国内銀行は現在、ブラジルの銀行取引規模に十二分な資金を持つ。国際金融で資金を調達するためのバーゼル指数は、最低一一%だ。しかし、ブラジルは一五・八%を取るから、普段なら容易に資金調達ができる。
ブラジルの店頭リスク取引は、中銀が厳しく監視をしているので安心して投資ができる。それが米国では、監督システムが複雑で、情報伝達が円滑でない、と同金融専門家は指摘する。
中銀はインフレへの注意をさらに強めると同時に、〇九年どころか一〇年まで視野に入れた長期的なビジョンを持って、国際金融危機に対面するべきである、との考えを強調した。