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「さすが世界のペトロブラス」=沖縄・南西石油から視察団=本社や施設を見学に来伯

ニッケイ新聞 2008年9月30日付け

 ペトロブラスが四月に買収した南西石油(沖縄県)から、同ブラジル本社(リオ)や関連施設を実際に知り、今後の意見交換をするために視察団五人が二十一日から二週間の予定で来伯中だ。
 「施設を見学して、さすが世界のペトロブラスだと思った」。嘉数博保製造部長(58、沖縄県那覇市出身)は感嘆した様子。最初にリオ本社を訪れ、サンパウロ州クバトン市の同社製油所を見学した。比較的古い設備だが、「とてもよく手入れされ、コンピューター化されていると感心した。我々も習わなくてはならないことが色々ある」と感想をのべた。
 その他、ペトロブラス技術大学なども見学し、十月三日に帰路に就く。同製造部の島袋利一操油係長、環境安全総務部の幸地伸環境安全課長らも同行している。今回は第二陣で、年末にかけて五人ずつ第四陣まで順繰りに来伯し、それぞれ異なる製油施設などを視察する予定になっている。
 同社は、エクソンモービル系の東燃ゼネラル石油の傘下だったが、四月にペトロブラスが全株式の八七・五%を買収した。ブラジル企業初の日本企業買収として大きく注目され、石油精製だけでなく、アジア市場に向けたバイオ燃料供給拠点としても話題を呼んでいる。
 南西石油の精製施設は日産十万バレルで、九百六十万バレルの貯蔵が可能。ペトロブラスは四月に沖縄で記者会見し、ブラジル産原油を精製して沖縄はもとより日本全体、アジアに売り込むために一千億円規模を投資して施設増設する方針を発表している。共同経営するのは株式の一二・五%を保有する住友商事。
 二十四日付けリオ共同は「ペトロブラスが、来年三月にも日本でガソリン小売り事業の開始を計画している」と報道。「沖縄県に自社ブランドのガソリンスタンド一号店を開き、当面は同県内で事業展開する」。
 これに関し、嘉数部長は「まったく知らない」と驚いた様子。「今のところブラジルから原油はきていない。ペトロブラスが他国から調達した原油を精製している。先月六万キロリットルのディーゼル油をブラジルに輸出したので、来月には届くはず」と語った。
 ペトロブラスは一九五三年に設立された国営石油会社。同社サイトなどによれば、原油と液体天然ガスの日産は百九十一万八千バレル。傘下のガソリンスタンド数は七千軒もある。
 ブラジル内の原油生産をほぼ独占し、〇七年の純利益は百二十一億ドルを記録している。植木茂彬元鉱山動力大臣(七四―七九年)が七九年から八四年まで同社総裁をしていたことでも知られる。