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南大河州で百周年祭典=ポルト・アレグレ=日系人4千人が団結して=2日で1万5千人来場=日本文化紹介も好評

ニッケイ新聞 2008年10月1日付け

 【ポルト・アレグレ発=坂上貴信記者】南伯でも百周年祝う――。南日伯援護協会(鈴木貞男会長)は、九月二十七日午後三時からリオ・グランデ・スール州(南大河州)ポルト・アレグレ市内のカーザ・デ・ガウーショ・イベントセンターで「南大河州ブラジル日本移民百周年記念式典」を開催した。あわせて二十七、二十八日の二日間開催された「ブラジル日本移民・日伯交流年百周年記念祭」には、約一万五千人(主催者発表)が訪れ、来場者は日本文化を堪能。鈴木会長は式典で「揺るぎない団結で百周年を迎えたことが嬉しい」と感激を表した。
 同州内には約四千人の日系人が在住。一昨年の二〇〇六年に南伯移住五十周年を同州、サンタカタリーナ両州をあげて盛大に祝った。そのため、今回の百周年は開催しない意向だったが「移住百周年は国全体で祝っているので開催すべき」との考えから、今年一月に行われた総会の席で開催する運びになった。
 開催決定により、今年一年間執り行われる行事には全て「百周年」を冠することを決め、二十二人で準備委員会、実行委員会が発足。今回二日間にわたって行われた式典と芸能祭は、〃百周年記念の集大成〃として行われた。
 二十七日午前九時から執り行われたカトリック、プロテスタント、仏教の三宗教による先没者追悼法要と合同慰霊祭。慰霊祭の前に在ポルト・アレグレ出張駐在官事務所の三浦春吉領事が先没者に敬意を表した。
 それぞれの宗派による慰霊祭で参列者は先没者に思いを馳せ、カトリックとプロテスタントで賛美歌を歌い、仏式法要では読経の中焼香を行なった。
 慰霊祭に続いて、敬老祝賀会「ブラジル日本移民・日伯交流百周年記念祭」が開会。最初に同州内に在住する八十八歳以上の高齢者二十二人に表彰状が授与された。
 代表して受け取った南日伯援協老人会の樋渡悦子会長は「この百周年のお祝いに参加できることは嬉しく、表彰状をいただいたことに感謝します」と喜びを表した。
 その後は、百周年記念曲「海を渡って百周年」音頭で日系人をはじめ、ブラジル人たちが一緒になって輪を作る場面も見られた。
 同日午後三時から開催された記念式典で、鈴木会長は先人に思いを馳せ、百周年を迎えた喜びを表すとともに、「当地では日本人移住五十二年を迎えて、二世、三世の活躍する時代になってきた。日系人としての誇りを持って、これからの日伯間で活躍していってほしい」と将来を見据えて話した。
 続いて、エリセウ・サントス同市副市長は、同地日系人が少数ながらブラジルに融合していることを話し、「ガウーショの一人として百周年を喜び、ポルト・アレグレのコミュニティーは日系人を心から歓迎している」と称えた。
 その他、小清水恵一百周年実行委員会総務、州知事代理のメルセデス・ロドリゲス同州秘書、三浦領事、セバスチャン・メロ同市議会議長、森口幸雄・ポルト・アレグレカトリック大学教授たちが祝辞を寄せた。最後に日伯両国歌を斉唱して記念式典は終了した。
 二日間行われた芸能祭では、太鼓や踊り、音楽隊、狂言、着物ショー、武道、YOSAKOIソーラン、カラオケなど、同州内十一カ所から参加した団体により百以上の演目が披露された。パラグアイのイグアス太鼓工房から澤崎琢磨さんらも参加して太鼓を演奏するなど、大いに盛り上がりを見せた。

南大河州百年祭=会場彩った日本文化展示=人気の「ビバ・盆栽」ブース

 【ポルト・アレグレ発】南大河州百周年記念祭典にあわせ、九月二十七、二十八日の両日、会場には日本文化を知ってもらうために茶道、書道、生け花、折り紙など様々な日本文化紹介ブースや日本食が用意され、来場者を楽しませていた。
 二階の展示場所には同市で盆栽の販売や栽培指導を行っている「VIVA・BONSAI」の展示が目を惹いた。中でも鳥居に太鼓橋、五重塔、白崎城を配置した立体模型には多くの人が足を止めていた。
 これらの模型を作成したのは、ファブリコ・サさん(27)。模型の周囲に設置されている小物を作成したのはヴィンシウス・フィルノさん(26)で、二人ともポルト・アレグレ在住。
 ファブリコさんは近所に住んでいた日系人の影響で、五歳の頃から日本文化に興味を持ち始めた。しかし、ポルトガル語で書かれた日本に関する書籍や情報は少ないために、英語に翻訳されたものを中心に勉強を始めた。
 「ただの興味本位で勉強し始めたけど、徐々に日本文化の魅力にはまってしまった」と笑顔を見せるファブリコさん。模型の作成は今回が初めてだという。「百周年のこの時に展示でき満足している」と嬉しそうな表情を浮かべていた。