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スピーチコンテスト=日語で先人・家族に感謝=日本語祭りでサンパウロ州予選=弓場の辻須磨香さん栄冠=日本語センター

ニッケイ新聞 2008年10月02日付け

 ブラジル日本語センター(谷広海理事長)は九月二十八日に「第六回日本語祭り」を同センターで開催した。バザーの他、午前中は全伯日本語学校生徒作品コンクールの表彰式と日本語学校七校の生徒によるYOSAKOIソーランなどの発表会、午後から第二十九回サンパウロ日本語スピーチコンテストが行われた。

 同スピーチコンテストは、十一月に行われる国際交流基金聖日本文化センター主催の全伯コンテストサンパウロ州予選。全伯への出場権をかけ、十五歳以下とA~C組の四カテゴリーに分かれて、非日系人三人を含む十七人が参加。百人以上の観衆を前に、緊張した面持ちで特訓の成果を発揮し合い、レベルの高いコンテストとなった。
 十五歳以下の部で一位に輝いた安楽美幸レイラさんは、「移民百年祭に参加して」という題で、皇太子さまを前に感激している祖母たちの姿に「先祖の苦労を思い出した。それを無駄にしないで日系人として誇りを持って生きてゆきたい」とはっきりとした大きな声で発表した。
 また、江崎佐奈絵さんは「家族」という題で、「おいっ早く起きて。ひよこに餌」などと現実は厳しいが「家族の愛に包まれています。だからこそ頑張れる」と家族への感謝と愛情を熱弁し、C組の一位に輝いた。
 そしてA組の一位と同センター理事長杯の栄冠を手にしたのは、ミランドポリスの弓場農場から出場した辻パトリシア須磨香さん(17)。「私たちのおじいちゃん」という題で、三歳の頃の弓場農場での祖父との思い出を情感を込めて披露。
 「蟻が浮いているジュース」を一気に飲みほした祖父が、力持ちになれると言った言葉を信じて「私も飲んでみた」などと笑いを誘いながら、「一世の努力があったから私たちがこうしていられる」と感謝を表し、会場を感動に包み込んだ。
 講評では、志村マルガレッチ審査委員長が「みんな上手だった。移民百年が経ってもなおこんなに素晴らしいコンテストができて嬉しいです」と喜びを表した。
 谷理事長から「コロニアの誇りです」と表彰され全伯コンテストに出場が決まった辻さんは、全伯でも優勝し「日本に行きます」と笑顔で話し、自信のほどを覗かせた。