ニッケイ新聞 2008年10月3日付け
陸軍リオデジャネイロ東部連隊は十月一日、統一地方選挙実施のため陸海軍精鋭部隊四千五百人を最も危険視されるスラム街アレモンの警戒態勢に付かせたと十月二日付けエスタード紙が報じた。さらに装甲車二十台や軍用トラック五十台、ジープ三十台、ヘリ六機も出動し、地域によっては昼夜兼行の二十四時間体制の監視を行う。ほか十二州二百八十一都市にも配備されるなど、一部では物々しい雰囲気の中での選挙になりそうだ。
これは地方選の一次選に備えた、陸軍のグアナバラ作戦最終章とされる。同市には他にも数々のスラム街があるが、陸軍特殊部隊の精鋭二百人は、アレモンの丘に常駐のための陣地を築いた。
陸軍の到着で麻薬の密売組織も、陣容の体制を調べ通信機で情報交換を行っている。麻薬組織の情報交換は卑猥な隠語で連絡され、治安当局で全て傍受した。スラム街アレモンには、傍系組織の援軍も続々到着し、衝突に備えている。
「シダーデ・マラヴィリョーザ」の軽快な音楽を奏でながら到着した、陸海軍の落下傘部隊を迎えた市民の中には、多数の麻薬組織のメンバーも交じっていた。歓迎風景は軍隊と思えない、陽気な空気と冷笑が入り混じった複雑な表情だ。
投票日の五日には、五千人の陸海軍兵士が、地方選挙裁判所によって指定された、麻薬組織の縄張り内にある二十七投票所に配備される。麻薬組織は、お祭り騒ぎのような陸軍部隊の配備と選挙体制を、ふざけた民主主義と嘲っている。
物々しい軍部の選挙介入に、緑の党と共産党が異論を唱えている。軍服と武器携帯で、公然とイタズラができるからだ。軍服を着た武装グループが、選挙事務所や個室に押し入り、プライバシー侵害や選挙妨害を犯したと両党が抗議した。
全伯で支出3倍に
二〇〇六年の地方選と比較すると、選挙高等裁判所(TSE)が負担する陸軍派遣費用は三倍に増額し、国防省へ四千百六十万レアルを支払った。陸軍は全国の二百八十一都市で、選挙監視活動を展開している。
陸軍部隊が投票所へ配備されるのは他に、パラー州や北リオ・グランデ州、アマゾナス州、アラゴアス州、アマパー州、セルジッペ州、マラニョン州、南マット・グロッソ州、パライバ州、トカンチンス州、ピアウイ州などだ。