ホーム | 日系社会ニュース | トランペッターの右近さん=故郷・神戸で13年ぶり演奏

トランペッターの右近さん=故郷・神戸で13年ぶり演奏

ニッケイ新聞 2008年10月03日付け

 【神戸新聞】神戸出身のブラジル移民のトランペッター右近雅夫さん(77)が、四、五日開催の「第二十七回神戸ジャズストリート」に出演する。故郷では十三年ぶりの演奏といい、力強いステージを披露しようと意気込んでいる。
 神戸市東灘区で育った。第二次大戦時に空襲で家が焼けたこともあり、二十四歳の時にサンパウロに家族六人で移住した。当時珍しかった油性インクに着目。独学で研究、製造に乗り出した。今では従業員約三十人を抱えるメーカーに成長したが、知らない土地では苦労の連続だった。
 心の支えになったのが母校関西学院高等部時代に覚えたトランペットでのジャズ演奏だった。移民船上で海に向かって吹き、新天地でも片時も離さなかった。「壁にぶつかった時ほど奏でていた。その音色に自然と前向きになれた」と振り返る。
 「ディキシーランドジャズ」と呼ばれる伝統的な演奏スタイルが信条で、自由で味のある即興演奏を得意とする。移住直後から事業のかたわら毎週一度は地元のライブハウスなどに出演。CD六枚を制作し、今でも毎月一度ステージに出ている。
 ジャズストリートの主催者の一人と知り合いだったことがきっかけで二回出演した。前回は震災のあった一九九五年に故郷が元気になればと参加した。「ジャズが盛んな神戸で再び演奏できるのは光栄。より一層、ジャズの魅力を伝えたい」と話している。
 演奏予定は四日午後一時、中央区のホテルのクラウンプラザ神戸。五日午後一時、神戸外国倶楽部など。実行委員会TEL078・232・3211(三日午後一時-同五時) (中西大二)