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ルーラ大統領=「米大統領の二の舞はふまない」=信用危機に備える=ドル高騰で情勢が一変=ブラジル経済の正念場来る

ニッケイ新聞 2008年10月4日付け

 事態の深刻さを認識したルーラ大統領は十月二日、米金融危機に際し米政府が適切な即時対応をできないことで、「ブッシュ大統領の二の舞をふみたくない。しかし、米政府の出方次第でブラジルの対処法が決まる」と述べたことを三日付けエスタード紙が報じた。米国発の不確定要因は、ブラジルにも不確定要因をもたらす。しかし、不安要因にはしないと大統領は決意を語った。
 ドル通貨が二レアルを突破したことで、輸出業者にはよいがインフレの懸念が生じたと二日のエスタード・サイトが報じた。大統領の口からも、楽観節が消えた。米金融救済法で手間取る米政府の優柔不断さに、大統領はイライラした。
 米金融危機が、ブラジルに「信用収縮」をもたらしている。一刻も早く対策を練り、円滑な経済活動を維持すると宣言した。大統領は農産組合陳情団の訪問を受け、農業生産に支障を来たさないために、営農資金の調達は急務と決意を吐露。
 世界から期待される農産物輸出が、ブラジルにとって貴重な財源となったいま、生産と輸出で資金ショートを起してはならない。いまやブラジルは、信用危機ともいえる事態にあるという。
 米金融市場の安定化は世界中が切望することだが、金融救済法案が予想外に手間取ったことで秋の空のような米政治を信頼できなくなった。大統領は二日早朝、財務相と中銀総裁を交え、信用問題について話し合った。会議の最中、ボベスパの暴落が遂事報告された。
 金融危機が、政府経費の垂れ流しを俎上に上げた。米経済の悪化と不確定要因の拡大で、政府経費の節約は当然の結果となった。資金不足の中の経済成長と来年度財政黒字は、同時進行だ。
 マンテガ財務相が公表した今年八月までの国庫と社会保障院、中銀の名目収支は、均衡状態が保たれ、健全財政が証明された。世間で騒がれるほどの乱脈浪費ではないことを物語っている。
 政府経費を引き締める一方、優先公共事業には投資を敢行。公共投資は現在、固定資本の一六%を投じているが、来年は一〇%に減る。最近のご時世では、仕方ないと思われている。
 また財政状態は、ドル高騰で好転した面がある。GDP(国内総生産)に対する公債の割合は、いつも配慮している。政府が保有するドル資産は、債権が債務より多い。これは、経済成長を促す切り札として使う。