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USP教授再度のブラジル初=タトゥーが考古学を邪魔?=イグ・ノーベル賞を受賞

ニッケイ新聞 2008年10月4日付け

 三日伯字紙が、ユーモアにあふれ、科学への関心を高める研究に対して贈られるイグ・ノーベル賞が、サンパウロ総合大学(USP)考古学教授アラウージョ氏らに贈られたと報じた。ノーベル賞のパロディー版ともいわれる同賞だが、ブラジルからは初受賞。ヒト胚性幹細胞株培養成功に続くUSP研究者の快挙だ。
 受賞対象となった研究は、「タトゥー(アルマジロ)が考古学の遺跡発掘現場を引っ掻き回す可能性」を扱ったもので、「人々を笑わせ、そして考えさせる」というイグ・ノーベル賞では、ミミズやモグラではなく、アルマジロと考古学を結びつけたことが注目されたらしい。
 内容そのものは、アルマジロが考古学の発掘現場に入ると、地面に穴をあけて地中のミミズを探すため、深い所のものが浅い所、または、浅い所のものが深い所に移動したり、地層がかき混ぜられたりすることで、発掘された物の年代推定に誤差が生じる可能性を指摘した真面目なものだ。
 一方、面白いのは、研究そのものがサンパウロ市動物園のアルマジロの檻で行われた事。動物園で研究をやっていた時に取り巻いていた子供など、「ギャラリーの存在が楽しかった」という。
 「今年の研究費は研究旅行で使い果たして、授賞式には行けなかった」と言う同氏らは、ノーベル賞の対象とならない考古学でのイグ・ノーベル受賞を素直に喜んでいるが、この受賞が教育現場に与える影響も興味深い。
 というのは、三日フォーリャ紙が、世界銀行がブラジルの教育はラ米諸国一九カ国中一五位と報告と報じたため。ユネスコ発表の文盲率もラ米一五位のブラジルだけに、学習意欲や科学への関心の昂揚は大いに意味があり、ノーベル賞受賞学者らが認めた同研究の内容とともに、現場にいた子供達に生じる感動が、子供達の学習意欲や科学への関心を高める事につながり、生活と結びついた授業へとつながっていくことなどが期待される。
 ちなみに、二〇〇八年のイグ・ノーベル賞テーマは、コーラの避妊効果、女性のバイオリズムとダンサーのチップ収入、犬のノミは猫のノミより跳ねる、ポテトチップを食べる時の音と美味しさ、など。古いものでは、三五年分の食事とその日の体調の分析や、牛糞からバニラの味と香りのする成分抽出などの研究もあるという。