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コラム 樹海

ニッケイ新聞 2008年10月4日付け

 どうもこの頃の世は不透明感が強い。まさか1929年の「暗黒の木曜日」にはなるまいが、それにしても米のサブプライムには参る。NYの株は800ドル近くも暴落し、東京も100兆円が消えるという大混乱である。それもこれも米下院が、金融機関の不良債権を買い取るために7000億ドルの公的資金を使うという法案を否決したからである▼サブプライムというのは、所得の低い人を対象にした住宅ローンであり、焦げ付きも多い。このため金利は年10%超も少なくない。しかも、このローンの債権を証券化して世界中で売り出した。ところが、ブームだった住宅価格が急に下落したので証券の値が崩れて下落しリーマン・ブラザーズが破綻し大騒ぎになる▼この危機を重く見た日欧の中央銀行も巨額の資金を提供すると決めたけれども、それでも危機は続く。こうした状況のなかでブッシュ大統領が、7000億ドルの公的資金を提供するとし下院議会とも合意していた、ところが、近づく選挙もあって下院議員らが「反対」に回り金融法案を否決してしまったのは、何とも残念である▼まあ、上院が何とか決着をつけたいとして修正案を可決し下院に審議をと戻したので金融法案は成立するかもしれない。米政府は「経済への影響を最小限にしたい」としているが、まだまだ金融界には不安な心理が根付いている。日本の銀行などは欧米に比べ証券化商品の保有が少ないので破綻するようなことはないが、業績の悪化は避けられまい。それにしても、あの昭和の大恐慌も米の株が引き金だったし、あの悲劇はもう2度とーである。 (豚)