ニッケイ新聞 2008年10月7日付け
サンパウロ市長選挙は六日〇時二十五分現在、ジウベルト・カサビ現市長(DEM=民主党)が三三・六一%とマルタ・スプリシ元市長(PT=労働者党)は三二・七九%の得票で一次選を突破、決選に進むことが決まったと六日付けエスタード紙が報じた。同選挙は、セーラサンパウロ州知事とロウセフ官房長官の二〇一〇年大統領選を視野に入れた布石であったが、戦略的に的を射た格好となった。
今回の地方選挙は一次選で過半数を得票し当選を決めた市長が、クリチーバやヴィトリア、ジョアン・ペッソア、アラカジュー、マセイオ、レシッフェ、フォルタレーザなど十五州都。
決選へ持ち込んだのは、サンパウロ市やリオ、ベロ・オリゾンテ、サルバドール、フロリアノポリス、ポルト・アレグレ、サンルイス、マカパ、ベレン、マナウス、クイアバなど十一州都。
全国レベルで見ると、全投票数の三六・四%を占める二十六州都と五十三都市を、PTとPMDB(民主運動党)、PSDBで分けた。この七十九都市のうち、十都市をPTが一次選で決め、十一都市が決選へ。PMDBが七都市と十都市、PSDBが八都市八都市。決選の多くなったのが、今回選挙の特徴だ。
地方で番狂わせが生じたのは、サルバドール市でアントニオ・C・ギマランエス(ACM)二代目が番外へ。ベロ市ではネーベス知事の支援候補が、一次選で決められなかった。リオ市では二位争いが白熱し、ガベイラ候補に決まった。
出口調査の予想を覆し決選進出を決めたカサビ市長は即日、決選へ向けサンパウロ州知事の仲介でPSDBとの連立を発表した。またソニニャ候補(PPS=社会人民党)との連立工作も、表明した。
フォーリャ紙は今回の選挙を次のように見ている。選挙前の調査によれば、元市長は九月末日に九ポイント現市長を引き離していた。他に、マルフ元市長とピッタ元市長との腐れ縁を乗り越えた現市長の得票は、特記に値する。
中流層と下流層は、どう色分けされたのか。マルタ元市長は二〇〇四年、中流層の取り込みに失敗。地方選の数日前、マルタ・カサビの決選が確実視されると「カサビが当選すれば民営化が始まる」と、二〇〇六年の手を使った。結果は、逆効果であった。
ブラジルの選挙は無党派の浮動票が毎回、増える傾向とダッタフォーリャ社が表明。有権者は、投票箱の前で考えが二転三転するという。