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ガンの生存率低いブラジル=発見や治療開始に遅れ=検診や予防にもっと関心を

ニッケイ新聞 2008年10月7日付け

 英国の研究者が世界三一カ国のガン患者一九〇万人の五年以内生存率を調べ、ブラジルの生存率は低いと報告したことを四日フォーリャ紙が報じた。
 調査対象は、前立腺ガンと乳ガン、結腸ガン、直腸ガン。発見から五年以内の生存率は、国やガンの種類、性差により差があり、ブラジルの生存率は、男性の直腸ガン(四九・三%)の一三位が最良で、以下、前立腺ガン二二位(四九・三%)、女性の直腸ガン二五位(三八・四%)、結腸ガン二八位(男性三三・一%、女性三二・七%、乳ガン二九位(五八・四%)。隣国キューバが前立腺ガン以外は生存率上位三位で先進国並みの生存率と報告されたのに比べ、ブラジルはほとんどが下から一〇位以内。
 この結果について、国立ガン研究所のルイス氏は、データが一九九〇~九五年と古いことと、ブラジルで調査基準を満たしたデータがカンピーナスとゴイアニア両市の患者一七二三人分しかなかったこと、比較対照が先進国中心だったことがブラジルの順位を低くしたとする一方、ブラジルは「発見が遅れ、生存率がかなり下がる」と指摘。
 これに対し、ブラジル・ガン・コントロール研究所腫瘍内科のセーリア氏は、健康への関心が低く、自分で薬を処方するというブラジルの文化的問題と専門家の養成不足を指摘。リオ州立大社会医学研究所のアゼベード氏は、発見から治療開始までの遅れを指摘する。
 一方、五日フォーリャ紙は、一センチ以上の大腸ポリープはコンピューター断層撮影検査(CT検査、トモグラフィア)で九〇%解析できるが、五ミリの場合は六五%しか解析できず、大腸カメラの方が詳細な検査が出来るが、大腸全体でのカメラ使用が困難な人にはCTと大腸カメラを組み合わせた使用が効果的と報じた。PETと呼ばれる検査で使用する放射性フッ素を生産する機関が二つしかなく、〇七年のようにストが起きると国内全部の検査がストップするなど、医療技術の前進や普及も今後の課題。
 医療体制や医療機器の充実、種々の検査方法やその限界についての知識も持ったガン治療専門医の養成とともに、予防医学への関心の高まり、定期検診などによる早期発見がガン生存率を伸ばすかぎといえそうだ。

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