ニッケイ新聞 2008年10月7日付け
中央銀行のメイレーレス総裁は五日、輸出に対するクレジット不足を補うため外貨準備の切り崩しを行う意向と六日付けエスタード紙が報じた。米金融救済案は可決されたが、これが金融市場を蘇生させるまでには、一年余かかるという同総裁の見通しだ。
後日買い戻すことを前提とするドル売りは、再度行う。また外貨の切り崩しは、必要に応じて別の方法で行うこともある。国内の銀行がシステム・トラブルを生み出さず、クレジット危機を起さないため中銀は全ての対策を講じるという。
ブッシュ大統領の金融救済案は痛みを止めるが、銀行の資本強化を行うので回復に時間がかかる。EUにも感染した欧米の金融危機は、ブラジルの輸出が先ず影響を受けると総裁が述べた。
輸出は、一国の経済において最も重要な要因。輸出を助け危機を乗り切るため、保有外貨を切り崩す。辛らつに批判されるのは覚悟の上という。
中銀は保有外貨を銀行へ一時預け、一定期間に元金を返還させる方式で国内市場に還流させる。
中銀の預託金割引は中小銀行を助け金融システムの円滑化を図るのが目的だ。大手銀行が中小銀行の保有債権を買わないなら、割引預託金は中銀へ返還せよというお達しだ。資金枯渇で苦慮する中小銀行には、干天の慈雨のはずだという。
ブラジルの金融市場にとって、保有債権の売買は金融業界活性化の注ぎ水となる。大手銀行は、自動車や不動産の売買手形だけでなく、その他の融資契約や銀行間取引債権なども購入できる状況にある。
これまで大手銀行は、余裕資金を国債購入に当て、中小銀行へ資金融通をしなかった。中小銀行はそのため、流動量枯渇に遭遇し運転資金に窮していたので、保有債権を換金し資金の敏速な運用が可能になった。