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■記者の目■コロニアへ説明責任あり=早急な会計報告発表を

ニッケイ新聞 2008年10月07日付け

 会計報告をしないまま、実施から約三カ月半が経過した百周年式祭典・日本文化週間。その報告が聞けるものと思い、四日にあった理事会に出席したのだが、呆れ返った。
 第一次召集の午前九時には三人しかおらず、結局出席したのは十人に満たなかった。海外日系人協会出席のため、訪日中の上原幸啓理事長不在を理由に、理事会延期も検討されたというのだから、何のために副理事長団体があるのか分からない。
 そのなかで唯一出席したサンパウロ日伯援護協会の森口イナシオ氏は、「みなさん、もうインテレサ(関心)がないんでしょうね…」と苦笑い。
 理事会そのものも散々なものだった。協会の会計報告は何と六月分。「そんな前のものを何故今…」とモジ代表の中山喜代治氏が呆れるのも当然だ。「事前に傘下団体に送付すべき」との苦言も呈していた。
 そもそも会計担当の高橋ヒロシ理事が欠席。理由を聞くと、「さて…旅行すると言っていましたが」と松尾治執行委員長。七、八月の会計も未報告だという。 ただの怠慢か、報告できない理由があるのかー。詰め寄る記者に、「ボランティアだからしょうがないんですよ」と一言。
 今まで何度、ボランティアだからーと問題をうやむやにしてきたことか。「ボランティア=責任がない」と勘違いしていまいか。だからこそ、何の会計報告も終わっていない状況で、この出席率なのだろう。
 本題に入ろう。理事会終了後、記者の質問により、松尾、森口両氏はようやく重い口を開き、三百万レアルの未払い金があることを明らかにした(本面トップ記事)。
 式祭典・日本週間などの会計を扱うOSCIPの中矢レナット理事長は、八月十五日に文協であった笠戸丸表彰の式場で、「八月末、遅くても九月末には記者会見を開き、発表する」と記者に確約した。
 その後は紙面を見てもご覧の通り、「なしのつぶて」だ。政府関係からの支援金だから、早急に支払われるものと高をくくったのかもしれない。
 しかし、いずれにせよ、コロニアに対し、状況を説明する責任があるのではないか。百周年前には新聞を大いに利用し、寄付を募っておきながら、頬かむりでは済まされまい。
 ちなみに、二日に行われた執行委員会にも中矢理事長は出席しておらず、松尾委員長も「直接は話していない」という。
 この執行委員会、討議内容は必ず記者会見すると確約しながら、なしくずしに反故にしてきた経緯がある。蛇足になるが、取材途中、協会幹部が松尾氏を手招きし、別室で記事化への口止め工作を図った。はっきり言おう。百周年協会は隠蔽体質である。
 知ってか知らずか、「トランスパレンシア(透明性)」を標榜してきた同協会の最高責任者は、東京で開催された海外日系人大会で、「百周年は大成功」と美辞麗句を並び立てたことだろう。
 大いに結構だが、百周年の〃顔〃でよかった時期はもう済んだ。残りの責任もしっかり取って頂きたい。日本からの帰国は十六日。
 未払い金の対策はさておき、理事会では、「忘年会の実施」が話題に出た。全く何を考えているのか。優先順位を考えて欲しい。「ジャポネース・ガランチード」は過去の話か。このままでは百周年に協力したコロニアは、年末年始と苦い酒を飲むことになる。  (剛)