ニッケイ新聞 2008年10月9日付け
為替市場は七日、ドルが五・〇九%上がり、二レアル三一二センターボへ付けたと八日付けエスタード紙が報じた。これはレアル高騰に賭けた企業が、為替差損を決済するためドル購入に走ったためと見られる。八月から現在までにドルが対レアルで四八%高騰したことで、中銀はインフレ到来の可能性を懸念している。小麦の輸入注文も、激減したようだ。
ドル通貨に対するレアル通貨の下落は、国内の経済活動と二〇〇九年度予想インフレ率に暗い影を落とした。顕著な通貨の下落は、明白な減速経済をもたらし、国民所得の目減りを引き起こす。そして、消費の減退と産業の落ち込みに至る。
ドル高騰がインフレの元凶であり、営業益の縮小と景気低迷の通用門なので政府は恐れる。投資の足並みも乱す。政府は輸出金融を工面したのに、ドル高騰で価値修正を余儀なくされる。上昇率が著しいと、価値修正は追いつかなくなる。
ドルが一・五〇レアルとなったとき、多くの投資家が強いレアルに賭けた。この目論見は、見事覆された。中銀はドル高を抑えるため為替介入を行ったが、そのために外貨準備を使い果たすことはできないのだ。
ドル高には、三つの原因がある。コモディティ下落と信用不安、それにレアル差損を埋めるドル購入。経済活動に与える為替の衝撃で、心配度が高くなった。国民の不安を慰める政府発表も、声が小さくなった。
二〇〇九年の経済成長率は世界経済次第だが、〇九年後半から回復の楽観説と一〇年回復の悲観説と政府内でも二分している。次期大統領選を控える一〇年に、ルーラ大統領は花道を飾れるのか。
ドルが前日比五%上がり、二・三一レアルとなったことで輸入食品と洋酒、小麦粉の注文が激減した。輸入品は在庫と船積みされた物のみとなり、年末の品不足が予想される。ドル高傾向は続きそうで、決済日はいくらになるのか心配。
卸商は今週、輸入品に一〇%以下の価格調整を行った。小売価格は、値上げされた新入荷品といっしょに調整するらしい。ドルはどのレベルで落ち着くのか、商業界が見守っている。
国産小麦の国内価格は過去二カ月間、三〇%値下げされた。一方、輸入小麦は二〇%の値上げ予想。ブラジルの小麦粉は、五五%が輸入品。小麦は栽培される土質の影響で、パン向きとマカロン向きに区別される。