ホーム | ブラジル国内ニュース(アーカイブ) | サンパウロ市長選=PTが戦略変更へ=大統領選の前哨戦と認識

サンパウロ市長選=PTが戦略変更へ=大統領選の前哨戦と認識

ニッケイ新聞 2008年10月9日付け

 PT(労働者党)執行部は七日、マルタ・スプリシサンパウロ市長候補の得票数が予想を大きく下回り、拒絶票の多いことで戦略変更会議を開いたと八日付けエスタード紙が報じた。選挙参謀サンターナ氏の交代説まで出た。
 サンパウロ市長選の決選投票におけるDEM(民主党)とPSDB(社会民主党)連合対PTの構図が、二〇一〇年大統領選の縮小版と位置付けられている。ブラジルの政治はこれから、PSDB/DEM対PTの二極化が政治史に定着すると見られる重要な選挙だ。この見方は、与野党ともに一致している。
 もしもカサビ候補にマルタ候補が敗れるなら、全国レベルで受けるダメージは拭いがたいと、PT執行部は見ている。一次選で見せたマルタ候補の聖女ぶりは、逆効果だったらしい。
 同候補の拒絶票は、三五%で最も多い。これを減らし、中流階級を取り込む必要がある。二〇〇四年セーラ候補に敗れたのも、同じ理由だ。飛ぶ鳥を落とす勢いのルーラ人気に、いかに肖るかが課題のようだ。
 サンパウロ市長第一次選のPT敗因は、事前調査でマルタ候補がトップであったため気が緩んだこと。また執行部がPSDB内の分裂で、油断したことと思われる。PTの中流階級取り込み失敗は、これで二度目だ。PTの歴史を見ると、対立党の分裂をうまく利用して成長した党といえる。
 決選では、ルーラ御大直々のお出まし。大統領は、決選に進んだ十五都市の応援に出向くという。特にサンパウロ市とサルバドール、ポルト・アレグレには力を入れるらしい。マルタ陣営は大統領の応援で、演出効果を最大限に生かす工夫を求められている。