中銀決定=さらに232億Rを投入=貧血状態に輸血で血行促す
ニッケイ新聞 2008年10月10日付け
中央銀行は八日、銀行の預託金へさらに融通性を持たせる規定を設け、金融市場に二百三十二億レアルを投入する意向を表明と九日付けフォーリャ紙が報じた。
通貨委員会は先週、資金枯渇を緩和するため、六百億レアルを市場へ投入したばかりだ。米金融危機の悪化で国際金融の資金源が停止し、国内金融業界は資金繰りに困難を極めている。
新中銀規定は、二つ。一つは、先の三億レアルの預託金割引を七億レアルに引き上げる。これで二十六銀行のうち十二行が預託金を免除され、六十三億レアルが金融市場に還流される。
二つは十月十三日から、当座預金残高とCDB預金に対する特別預託金を八%から五%に引き下げる。これは二〇〇二年、政府が資金調達に困った時、銀行から預託させた制度だ。
最初に行われた預託金割引で、大手銀行は中小銀行の債権二百三十五億レアルを購入した。それを中銀が買い上げると発表し、大手銀行はそれを待っている。
中銀が苦慮するのは、資金調達ができない中小銀行の経営難。国際金融で融資を受けた国内企業が、融資契約の更新を願い出たが断られた。そのしわ寄せが、中小銀行を窮地に追い込んだ。
欧米の金融市場に危機解消の兆しがなく、事態は悪化の一途にある。そのため、国内の中小銀行も経営が悪化した。大手銀行は取引を先延べにし、現在の手持ち資金を最悪事に備え握っておくべきか、迷っている。
米発金融危機のブラジル市場感染を防ぐため、中銀の努力を評価するという見方が多い。金融システムが崩壊しつつある国際環境の中、各銀行は保有する債権の実体価格が分からない。
多くの企業や銀行は、不良債権を抱えたまま動けないでいる。それを還流させるため、中銀が刺激剤を市場に注入したというのだ。