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若い人にも読んでほしい=「伯における日語教育史」

ニッケイ新聞 2008年10月11日付け

 だるま塾日本語校校主の森脇礼之さん(74、島根)、ブラジル日本語センター調査研究部の中田みちよ代表による「ブラジルにおける日本語教育史―その変遷と近年の動向―」が六月にカンピーナス大学出版部より刊行された。
 同書は日ポ両語で書かれており、第一部は森脇さんが五年の歳月をかけてまとめた「日本語教育の理念の変遷」、第二部は中田さんらによる「成人日本語学習者の意識調査二〇〇一」となっている。
 第一部では、日語を母国語として教育していた時代から日語が話せない子どもが出始め初めて壁にぶつかった六〇年代後半、外国語として日語を教育する動きが出始めた九〇年代と、時代の流れを考慮しながら、移民の精神と日語教育界の変遷を追っている。
 森脇さんによれば、日語教育理念の変遷をまとめた本は今までなかったという。サンパウロ大学の土井エルザさん、高須文子さん、鈴木マリアさんの協力によりポ語に翻訳され、幅広い層に読んでもらえる二カ国語で同書が完成した。
 「若手の日語教師や日本人会の方々に読んでもらいたい。温故知新に因んで、時代により変化する理念を同書から知り、新しい未来を見据えて欲しい」と、森脇さんは話した。
 同書はサンパウロ人文科学研究所で一冊三十六レアルで取り扱っている。問い合わせは人文研(電話=11・3277・8616)まで。