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コラム オーリャ!

ニッケイ新聞 2008年10月11日付け

 「日本へ一メートル近く葬られ」という川柳には、生活の中でふと思いつく移民ならでは想いが見事に表現され、壮絶なまでの郷愁や切なさを感じさせる。
 細川周平教授(国際日本文化研究センター)は「悲嘆の極地にあって、作者はふとこのようなおかしみを感じた。悲しすぎて口元が勝手に笑えてしまうようなことが、人生では時々起きるが、何かその瞬間に思いついたような句ではないだろうか」(『遠きにありてつくるもの』みずず書房、〇八年)と説明する。
 先日、百年叢書『コロニア文芸(下)』を出版した人文研では、川柳の流れを総括する別巻を出したいと考えている。宮尾顧問は「やはり川柳は短歌などより直接的な表現ができる。百年の移民の心情を川柳の面からまとめる必要を感じる」。誰かいれば人文研(11・3277・8616)まで連絡を。(深)