ニッケイ新聞 2008年10月14日付け
来年二〇〇九年にはアマゾン入植八十周年を迎える。来年の式典開催に向けて、このほど「和・継承」をスローガンにアマゾン日本移民入植八十周年記念準備委員会(須藤忠志委員長)が発足した。九日に案内のために本紙を訪れた同委員会の須藤委員長、堤剛太総括は「とにかく自分たちの身の丈にあった式典を行いたい」と意欲をみせた。また、同地の日系人口や移住地の歴史などをまとめた記念誌を作成し、来年以降に発行を予定している。
同委員会は、アマゾン地方でまとまって協力していくために「和」、日本文化のノウハウなどを伝えていく「継承」の二つをスローガンに選んだ。また、緑の大地に日の丸が昇ってくるようなロゴマークが完成した。
「祭りは周囲の士気を高めるが、終わったらそれで終わりだから、式典に絞ってしっかりしたものに」と話す。来年九月十六日のトメアスーを皮切りに、十八日にベレン、二十日にマナウスの三カ所で順番に式典を行っていく。「毎年恒例で西へ向かっていくように三カ所で式典を開催している」と説明し「ペルーの移住百十周年も一緒に祝えれば盛大になる」と構想を話した。
また、式典の前夜祭を九月十六日から十八日まで州のコンベンションセンターを利用して開催する予定で、「これからプログラムの作成にあたっていく」と説明した。
式典には、皇室関係者をはじめ、移住者の多い県の知事や関係各団体を招待する予定。今月二十日には事務局を設置し、専門の職員が作業を行っていく。
同委員会では基本的なことを行うが、独自の記念行事に関しては各協会が行う予定。須藤委員長は「とにかく地に足をつけて我々の能力に合ったものを、みんなで協力して一生懸命やりたい」と話した。
堤総括は「一世主導の式典はこれで最後でしょう」と前置きし「世代交代がどんどん進む時で百周年を節目とみている。移り変わりなどの流れをしっかりと見ていきたい」と話した。
▽ ▽
同地では、現在、日系農家の人口調査を二年がかりで堤総括を中心に進めてきている。同調査は東京農業工業大学の依頼によるもの。
同調査と一緒に、同地の日系人口、移住地の調査も行ってきた。堤総括は「同地方の人口はもっと少ないと思っていたけれど、結構多くいることに驚いた」と調査結果を話していた。
今回の調査結果に加えて、同地の移住地紹介、古い移住者たちのインタビューなどをまとめ、同委員会とは別に記念誌を作成し、発行する予定。
「日本側の記録だけでなく、ブラジル側の記録も入れていく。新聞などの記録を紐解いていくと食違いや新しい発見が見られた」と調査状況を語った。
最後に「六十、七十周年時の記念誌は時間がなかったので、今回は豪勢に作成したい」と希望を述べた。