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中銀の資金投入1000億R超える=流通量不足に対処=ドル高騰抑制の為替対策=最悪なら銀行国営化も

ニッケイ新聞 2008年10月15日付け

 中央銀行は十三日、銀行預託金のさらなる軽減などにより資金流通量を増加させる意向と十四日付けエスタード紙が報じた。これで一カ月間に四回目の金融対策案発令で、市場への資金投入総額は一千五十七億レアルとなった。一方、ドル通貨の高騰は少なくとも二百社に損害をもたらし、政府の懸念となった。EU各国が公的資金で銀行の国営化を図っているが、ルーラ大統領はそれをブラジルで行うことには疑問を呈した。
 金融システムの流通量不足が顕著なことで、中銀はさらに思い切った預託金軽減による資金投入を決断した。四回目、四百五十八億レアルの資金投入だが、まだ経済活動が滞っている証拠だ。
 預託金は民間銀行が運用額に応じて中銀に強制的に積み立てさせられるもので、それを市場に戻すことで流通量を増やす政策がとられた。国庫から投入することなく、民間資金を解放することで資金量を調整するもの。
 十三日の対策案は、四つある。一は、預託金割引を三億レアルから十億レアルに引き上げる。これで八十億レアルが市場へ戻される。二は、CDB預金の預託金七億レアルの割引を、二十億レアルに引き上げる。これで百三十一億レアルが、市場に還流する。三は、リース企業が中銀ドル売りの購入分を預託金から控除できる。これで二百億レアルが市場を潤す。
 この為替取引きは、中銀がドル売りを行う日から買い戻しまでの期間だけで、割引額は金融機関のドル購入額と同額になる。この取引によって市場に出回る外貨が増え、経済活動を刺激するとともに、急激なドル高騰の抑制にもなる。
 四は、他の銀行の債券購入に対する中銀の割引処置で、六十億レアルの資金投入が見込まれる。
 一、三は即日発効、二、四は十七日から発効だが、資金コストが高騰し信用市場に支障が生じた中で、中銀の金融救済案は歓迎された。資金不足のため、市場は支払能力の低下を来たしている。市場に債務不履行現象が起きる前に、中銀が腫瘍を治療するよう関係者が願っている。
 本格的な金融危機がブラジルを襲うなら、銀行の国営化も選択肢にあると、ルーラ大統領が述べた。欧米では公的資金を投入せずに、株取得による銀行国営化を図っている。これも一方法であるが、欧米手法には疑問があるとして、大統領は確答を避けた。